〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第72章 君しか見えない-繋-❀伊達政宗❀
「だって、そうだと思ったから…沙羅さんの言う事、その通りだって」
「で、俺を疑ったのか。お前は人の言う事、真に受けすぎだ。俺がそんな風に思うわけないって、少し考えれば解るだろ」
「うん、うんっ…」
(ったく、ばか……)
どうやら俺の言葉は届いたようだ。
美依の華奢な身体は、もう震えていない。
自信が無くて、自分を追い詰めて、一人で泣いて。
でも、やはりその根底にあるのは、あの夜があるのだと。
原因から正すなら、そこからだよなと、ふと思った。
「お前が自分に自信ないのって、やっぱり経験がないからだよな」
「そ、それは…」
「お前、さっき怖いって言ってたよな。まぁ、あの夜の時点でそれは察したけど」
「え、そうなの…?」
「お前、解りやすいからな。すごい震えてたし」
すると、美依はしょんぼり俯き。
ぽつり、ぽつりと、自信無さそうに呟く。
「嫌な訳ではないの、ただ…自分がどうなるか解んないから、ちょっと怖いの…」
「どうなるか解んないって……」
「だって口づけられただけで、頭ふわふわになるから…その先も、とかなったら…本当におかしくなっちゃうかもって」
「……」
「だから、そのっ…拒んでごめんなさい。それに、経験ないなんて知られたら、政宗に呆れられちゃうかと思って、言えなくて…」
(……っ、なんだ、この可愛すぎる生き物は)
そのあまりに愛らしい理由に面食らった。
おかしくなるかもって…
馬鹿みたいに純なこいつが、馬鹿みたいに可愛く見える。
無自覚にそーゆー事を言うの、やめてほしい。
がっつきたくなる俺が、それこそ馬鹿みたいだ。
俺はちゅっと美依の額に口づけ…
再度瞳を覗き込みながら、不敵に口角を持ち上げた。
「考えすぎなんだよ、本当に可愛いな、お前」
「うっ…」
「それに、呆れる訳ないだろ?お前を俺だけの色に染められるなんて、光栄だ」
「そ、そんなもん……?」
「そんなもんだろ…じゃあ」
「ひゃっ……!」
不意をついて、美依をひょいと横抱きにする。
その小さく華奢な身体に、愛しさを覚えながら……
耳元で艶っぽく、誘う台詞を囁いた。
「────これから、おかしくなってみるか?」