〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第72章 君しか見えない-繋-❀伊達政宗❀
硝煙の匂いは、俺を狂わせる。
これまでで、俺がそんな状態になった時、身体を預けてくれる女はたくさん居た。
『肌で確かめたい』とはつまり『そーゆー行為』だと。
それで、闇雲に抱き潰した女もいた。
だが、それで俺が満たされることは無かった。
「でもお前は、俺の手を握ってくれただろ?痛いのは嫌だけど、これならいいって…俺はそれで、すげぇ救われた気がしたんだ」
『呑気だね、お前は』
俺は、そう言いながらも、移る温もりが嬉しくて。
とても安心して、温かさに癒されて……
心が満たされるってこーゆーことなのか、と。
────安堵感と共にお前がすごく愛しく思えた
「あの日から、俺はお前にハマっていった。周りの女が霞むくらい…お前しか可愛く見えなくなった」
「政宗……」
「お前をそんな風に不安にさせた、俺は俺が許せない。お前も俺を許さなくていい。でも……信じろ」
「……っ」
「自分が信じられないなら、信じなくていい。でも、俺の言葉や想いは信じろ。馬鹿みたいに好きなら、信じられるだろ……?!」
────ココロヨ、トドケ
お前の頑なに閉ざした殻を突き破り
俺の想い、お前に深く突き刺され
「愛してる、美依。お前を誰よりも、何よりも…だから、俺を信じろ。俺だけを信じて、俺だけを見てろ──……!!」
「まさ、む……」
────刹那
美依の瞳から、綺麗な雫が伝った。
そして、曇っていた瞳が、見る間に澄んでいく。
それは、凍てついた世界の雪解けだったのか。
俺がその流れた涙を唇で掬うと、美依は肌を震わせ、さらにぽろぽろと涙を流した。
「ごめん、政宗、ごめん……!」
「解ったのか」
「解った…そんなの、解ってた。政宗が愛してくれてるの、解ってたのに…私、自信が無くて、私は平凡だから……」
「お前は世界一可愛い、俺が言うんだから間違いねぇ、沙羅の言う事なんか気にするな」
「え、なんで知って……」
「秀吉と本人に確かめた。ったく、そんな馬鹿みたいな事ばっか信じやがって」
そのまま、美依の身体を強く引き寄せる。
美依も俺の胸にしがみつき、その濡れた顔を胸元に埋めた。