〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第72章 君しか見えない-繋-❀伊達政宗❀
素直で、優しくて、芯が強くて、頑張り屋で。
たまに無鉄砲だけど…時に誰よりも聡い。
そんな美依の魅力に惹かれるのに、時間はかからなかった。
そして……笑うと可愛いから。
俺は、この笑った顔が好きで。
もっと、ずっと、笑っていてほしいと思った。
『政宗』
名前を呼ばれるたびに、愛しくて。
苦しいほどに……恋しくて。
みっともなく惚れていると気づいた時には、もう。
離れられないくらい、がっつり心を掴まれていたのだ。
『痛いのは嫌だけど、これならいいよ』
温もりもくれた、そんなお前だから
俺が一生かけて、守って……
そして、導いてやろうと心に誓った。
────愛しているから、美依を
「美依は俺の空いた心に、しっくりハマった。それは身体なんてくだらねぇ関係じゃない。普通だろうが、平凡だろうが、そんなのはどうでもいい」
「……っ」
「俺はお前に言ったよな?お前は自意識が高くて、偏ったものの見方しかしないって。今日話して思った、お前は何も変わっちゃいねぇ…結局は俺の外見や身体の相性や…そんな部分でしか俺を見てないんだろ」
「まさっ……」
「俺の信念も理想も…大事な所を決して見ない。だから見放したんだ、嫌いではなかったが…もう今日でうんざりだ」
顔も見るのが嫌になり、身体を離して背を向ける。
すると、沙羅は俺の腕をぐいっと掴み、その場から去るのを引き止めた。
「あの子の所へなんか、行かせない!」
「離せ、沙羅」
「嫌っ!」
「────斬られたいのか、お前」
「……っ!」
それでも、沙羅は離そうとしない。
すると、その腕を掴んだ手が震えだし……
なんだか、とても弱々しく、言葉を紡いだ。
「私は、私は、ただっ……」
「……」
「まさに、もう一度振り向いてほしくて…あんな子より、私の方が相応しいって気づかせたくて」
「……だから、なんだよ」
「……っ、私は……!」
沙羅が少し声を荒立てる。
まるで、それは泣き叫ぶようだった。
「私は、まさがまだ好きなのっ…………!」