〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第72章 君しか見えない-繋-❀伊達政宗❀
『美依と沙羅が鉢合わせた?』
『ああ、市の外れの茶屋でな。美依…結構な言われ方をされてたぞ、沙羅に』
『は…なんだよ、それ』
『しかも、その時だけじゃない。今日も…お前の御殿の前で、鉢合わせたみたいだな。俺が見かけたのは偶然だったが』
『美依、来てたのか?!』
『沙羅に辛辣な事を言われて、泣いて走ってったぞ』
『美依が泣いてた?!沙羅に何言われたんだよ!』
『断片的にしか聞こえなかったがな……』
(俺としたことが…美依っ……!)
美依の心境を考えると、胸が張り裂けそうだった。
秀吉の言った事が正しければ……
美依はこれ以上ないくらい、ズタズタに傷ついたはずだ。
それをした、沙羅が許せなかった。
あいつを傷付ける奴は、誰であれ……
例え、昔の女でも例外ではない。
────俺が、斬って捨ててやる
「沙羅っ……!」
俺は、そのままの勢いで沙羅が働いていると言う、市の外れの茶屋に押し入った。
勢いよく引き戸を開ければ、客が目を丸くして俺を見る。
そんな中で、奥の厨房から覗いた女。
それは間違いなく、俺の昔の女だった。
「やだ、まさ来てくれたの?!」
「うるせぇ、ちょっと来い!」
「え、ちょっとっ…きゃっ……!」
づかづかと歩み寄り、沙羅の腕をふん掴んで店を出る。
そのまま俺は、人気のない店の裏まで沙羅を連れていき……
壁に追い込んで、沙羅の顔の横で片腕を付いた。
沙羅を間近で睨めば、沙羅は少し頬を染めている。
何をされると思ってんだ、馬鹿。
「まさ、こーゆう事は仕事終わってから…」
「勘違いすんな、お前に興味はねぇ」
「やだ、冷たい」
「ふざけんな。お前……美依に何をした?」
俺が凄むように沙羅に言うと、『美依』と言う単語に反応した沙羅は、途端に仏頂面になり。
とことん不機嫌そうに、俺を見つめる。
そして、嫌々と言った様子で言葉を紡いだ。