〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第71章 君しか見えない-純-❀伊達政宗❀
────どんな素敵な恋をしてきたんだろう
私がここへタイムスリップしてくる前
政宗はあの子とどんな恋愛をしてきたんだろう
あんな風に、綺麗な女の子に好かれて
きっと政宗は、私にしているように、
あの子にも優しくしていたに違いない
そして、愛し合い、肌を重ねてきたのだろうか
私の知らない政宗
それに嫉妬したって仕方ないのは解ってる
でも、あの子と私は明らかに違う
何故、私を選んだの?
あの子とは全然違うのに
お城に向かって走りながら……
疑問ばかりが頭に渦巻いて苦しかった
政宗を傷つけてしまった私
もう嫌われたのではないかと、きっとそれは……
私が肌も重ねられないから
あの綺麗な子に、敵わないのではないかとか
そんな思いも拍車を掛け……
酷く自分を責める気持ちしか、生まれてはくれなかった。
*****
(……会いにくいけど、でも………)
それから、三日後。
政宗が無事に帰ってきたと報せを受け、私は政宗の御殿に向かっていた。
会いにくい、本当に気まずいけど。
でも、きちんと私から謝らなくては……
そう思って、会いに行く事を決めた。
三日間の間、沙羅さんとは顔を合わせることも無く。
それに関しては、正直私はほっとしていた。
(直感的に、苦手な感じするしな、あの人……)
秀吉さんからは、連れて行って悪かったと、後日謝られてしまった。
その時は気にしてないと答えたけれど……
やっぱり気になってしまうよね、元カノの存在は。
でも、それについては、うじうじ考えても仕方ない。
とにかく政宗に謝って、正直に話そう。
沙羅さんの事は、その後聞けたら聞こう。
自分の中で、そう小さく決意して、御殿へ向かったのだけど……
「あれ……?」
御殿の近くまで来た時、なんだか知ってる姿が玄関から出てきたのを見て、私は思わず足を止めた。
綺麗に結い上げられた髪。
鮮やかな瑠璃紺色の着物。
ぱっと目を引くような、綺麗な顔立ち。
それは、私が今一番会いたくない、政宗の元カノ。
沙羅さん、その人だった。