〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第71章 君しか見えない-純-❀伊達政宗❀
(やっぱり、政宗の元カノ…………!!)
嫌なカンって当たるものだ。
女のカンなんて、信じていなかったけど……
この時ばかりは、それがフルに働いたらしい。
私が思わず、口を噤んでいると。
『沙羅』と言われたその子は、興味深々に私を見つめてきた。
「美依さんって言うの、秀吉さんの恋仲の子は」
「だから、違うって言ってるだろ。沙羅、美依は…」
「美依さんは?」
「……今、政宗が付き合ってる子だ」
「えっ……」
秀吉さんの言葉に、今度は沙羅さんが声をつまらせる。
今までキラキラして見つめていた、大きな瞳が……
途端に嫌悪の目に変わったのが解った。
そして、まるで品定めするように、上から下まで私を眺める。
なにこれ、私は一体どうすればいいの?
「……美依さん、まさの女なの?」
「は、はい……」
「そう…あなたが……」
「……っっ」
(どうしよう、すごい気まずい……!)
冷ややかな視線が降ってきて、話しかけられても、ろくすっぽ返事も出来ない。
すると、沙羅さんはふっと鼻で笑い。
若干小馬鹿にするような口調で言葉を紡いできた。
「まさにしては、随分普通の子ね。純朴そうだけど、平凡って言うか」
「おい、沙羅…失礼だろ」
「だって本当の事だもの、秀吉様。何故まさが選んだのか、さっぱり解らないと思って」
なんか、めっちゃ失礼な事を言われている。
それは解ったが、私は反論出来なかった。
どう見ても、今目の前にいるこの子に、私は敵わないから。
それに、何故だか解る。
今会ったばかりで、ろくに話もしてないけど。
また、女のカンが言ってる。
────きっとこの子、まだ政宗の事が好きだ
「秀吉さん、私行くね」
「美依?」
「荷物持ってくれて、ありがとう」
「あ、おいっ……」
私は秀吉さんの腕から、無理やり反物を奪い取った。
そして、沙羅さんに一回深く一礼して、背を向け。
そのまま反物を抱えて、一目散に走り去った。
もう、その場に居たくなかった。
政宗の元カノ、あんなに綺麗な……女の人。
それは私の自信をますます喪失させ、私をみじめな気持ちに陥らせた。