〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第71章 君しか見えない-純-❀伊達政宗❀
「秀吉様?秀吉様でしょう?!」
突然、後ろから声を掛けられ、二人して振り返る。
すると、茶屋から女の子が小走りで、こちらに向かってきて……
その姿を見ながら、秀吉さんがびっくりしたように声を上げた。
「え、沙羅……?!なんでここに……!」
「やっぱり秀吉様!最近働き始めたんですよ、相変わらず男前で、うふふ」
女の子は、私達の前で立ち止まると、なんだか華やかに笑った。
(誰……?)
秀吉さんと親しげに話す、その女の子。
それは、まるで薔薇とか牡丹とか、そんな艶やかな華みたいな印象を受けた。
美人だし、口元にあるほくろが色っぽくて。
そこそこに背が高く、豊満な胸とか、くいっとくびれたウエストとか……
なんだろう、私と真逆。
そんな風に思って、思わずその子を見つめる。
「秀吉様は恋仲の子と逢瀬?」
「いや、違う。こいつは…えぇと、つまりだな」
なんだか、どもって答える秀吉さん。
顔を見ると、少し焦っているように見えた。
なんだろう、紹介しにくい人?
友達…には見えないし、どーゆー関係なんだろ。
そう思っていると、女の子が明るく笑って言葉を続けてきた。
「隠さなくてもいいですよ!それより、まさは元気?」
「あー、今は公務で安土を離れてるぞ」
「いつ帰ってきます?御殿を訪ねたいのだけど」
「それはやめとけ」
「何故?別に構わないでしょう、まさは優しいから大丈夫よ」
(まさって……)
その名前を聞いて、私は思わず目を見開いた。
しかも、この話の流れでいったら……
『まさ』は間違いない、政宗のことだ。
……政宗の知り合い?
こんなに美人で、色っぽい子が?
しかも、この秀吉さんの様子……
(まさか……)
自分の中の女のカンが、微かに疼く。
途端に、心臓がドクリと嫌な音を立てた。
「秀吉さん、この方……」
「あ、ああ……」
すると、秀吉さんが反物を持っていない方の手で、私の肩をポンと叩き。
すごく言いにくそうに、言葉を紡いだ。
「美依、この子は沙羅って言って……昔政宗が付き合っていた子だ」