〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第71章 君しか見えない-純-❀伊達政宗❀
自分のした事が情けなくて、涙まで滲む。
それから、政宗はしばらくは帰って来なかった。
初めてのお泊まり逢瀬。
それはほろ苦いものになり──……
その夜は、そのまま触れ合う事も無いまま、過ぎ去っていった。
────私には、男の人に抱かれた経験が無い
今まで、それなりに恋もしてきた。
けれど、身体を重ねた事は一度もなかった。
だから、何も知らない。
身体を重ねるって、どう言うことなのか。
痛いのか、気持ちいいのか。
私には、何も解らない。
だから……怖い
未知なる領域に、足を踏み入れること。
『愛し合う』と言う行為は……
私をどんな風に、変えてしまうのか。
それを知るのが……怖いから、
政宗を受け入れる事が出来なかった。
それに、もしかしたら、呆れられてしまうかもしれない。
何も経験がないなんて、政宗が知ったら。
政宗は、私を面倒くさいと思うかもしれない。
(政宗に、嫌われたくない)
大好きな人だから…嫌われたくない。
呆れられたくない。
ずっとずっと……好きでいて欲しい。
私は、ワガママだ、本当に
もう拒んだことで傷つけてしまった。
でも、どうすべきなのか、解らなかった。
────……ごめん、政宗
私は一体、どうすればいい──……?
*****
「ごめんね、秀吉さん。荷物持ちさせて」
「このくらい大丈夫だから気にするな、反物は案外重いからな」
私の隣で、たくさんの反物を抱える秀吉さんが優しく笑う。
私は、本当に優しいなぁと思いながら…
釣られて、にっこりと笑みを返した。
────あの夜から、数日経った
政宗は次の日から、信長様からの命令で近隣の国へ行ってしまい……
謝ることも出来ないまま、私達は離ればなれになった。
あの夜から一夜明けた朝も。
結局私は、政宗に理由を話せないままで……
政宗も何も言わないから、ギクシャクしたまま。
私達は、すれ違ったままだった。
どう考えても私が悪い。
だから、早く謝りたかったのに、なかなか上手くいかないなぁ。
そんな風に落ち込んでいた時。
私の様子を心配した秀吉さんが、市へ出掛けようと誘ってくれたのだった。