〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第71章 君しか見えない-純-❀伊達政宗❀
「どうした、美依。固くなって」
「え、あ……」
「すぐに何も考えられないくらい、気持ち良くしてやる。だから、力抜け」
「……っ」
私をなだめるように囁き、また手が身体を這い始める。
次第に寝間着が乱れ始め……
私は政宗の愛撫を受けながらも、頭は冷えて、どうしてもそれを素直に受け入れる事が出来ない。
(だって、だって、私)
と、際どい部分に手が触れ、私は大袈裟に身体を震わせた。
だめ、政宗。
それ以上は、だって。
だって、私。
私────…………
「政宗、待ってっ……!」
「……っ!」
私がぐいっと政宗の肩を押し返すと、政宗はびっくりしたように蒼い目を見開いた。
政宗の動きが止まった隙に、私は起き上がって、はだけた寝間着の前を掻き合せる。
「美依……?」
呆気に取られたような、政宗の表情。
少し乱れた長着もそのままに、私を見つめている。
私は両手で襟の袷らへんを掴みながら、少し俯き。
ぽつりぽつりと、言葉を紡いだ。
「その、まだ、えぇと……」
「……」
「まだ、その、ごめん……」
たどたどしく、訳の分からない言葉を繋げる。
ちゃんと言わなきゃ、政宗に。
きちんと伝えないと──……
そう思っているのに、なかなか言葉にならない。
そんな事をしてる間に、小さなため息が聞こえ。
それを合図に俯いた顔を上げた。
(あ……)
そのままに飛び込んできた政宗の表情に、私は思わず目を見開く。
「ん…解った」
「まさ、む……」
「ちょっと、外の空気吸ってくる。先に寝てろよ?」
政宗は何事もなかったかのように、私の頭をぽんと叩き、そのまま部屋を出ていった。
その姿を目で追うしか出来ない。
引き止めることも、出来なかった。
(政宗……)
褥にへたりと座り込む。
そのまま脳裏に焼き付いた政宗の表情に……
ひたすらに後悔の念を覚えた。
────傷つけてしまった、政宗を
求めてくれたのに、拒んだことで、
あんな風に傷ついた顔をさせてしまった、と。