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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第1章 蜜毒パラドックス《前編》❀豊臣秀吉❀





「えぇと……お邪魔します」




言われるがままに部屋に足を踏み入れる。

すると、その部屋には布団が一組だけ敷かれ……
枕元に、小さな行燈が頼りなく灯っていた。

ただそれだけ。
あとはこれと言った物もなく、生活感と言うものが全く無い。




(何ここ…なんで布団が……)




不思議に思っていると、パタンと障子が閉まる音がして秀吉も中に入ってきた。

布団の脇で佇む自分の後ろに立ち、肩にぽんと手を置かれる。




「秀吉さん、ここは何?」

「……悪い、美依」

「え?」

「文句なら、後でいくらでも聞くから……今は言う事を聞いてくれ」

「それ、どーゆー……あっっ!」






その刹那。
首筋を、秀吉の熱い唇が這った。
























「轟様、お酌をさせて頂けないでしょうか」




安土城、広間。
光秀はいつものように作り笑いを浮かべ、膳を挟んで大名の向かいに座った。

大名は何か怪訝な表情で辺りを伺っていたが、光秀の姿に気がつくと、途端に笑顔になり。

『かたじけない』と盃を手に取った。




「まさか明智様に酌をして頂けるとは」

「今日は信長様と轟様の親睦を深める宴です、信長様に代わりまして、お相手を務めさせて頂きます」

「時に明智様、豊臣様と奥方は……?」

「二人がどうかしましたか?」

「先程、奥方が酔われてしまい二人で席を外して…暫く経つのですが戻っていらっしゃらないので」




大名が再度怪訝な表情を浮かべたので、光秀はくすりと笑い。

ゆっくりとした手つきで酒を注ぐと、その淡色の瞳を酒に視線を向けたまま話を続けた。




「奥の部屋に休ませに行っております、途中で抜けてしまい本当に申し訳ありません」

「いえいえ、そう言う事情ならば。しかし、あのように仲睦まじいお二人に、我が娘が立ち入れるのかが心配ですな」

「奥方は子が出来にくい体質でしてね…まぁ、秀吉も正室に子を産ませたいとは願っているようですが。もしかしたら、今頃……」

「は?」




大名が疑問の眼差しを光秀に向ける。
それを感じ、光秀は艶やかに笑んで……

大名を見ると、色を帯びた口調で言った。




「秀吉が奥方を啼かせているかもしれません。あの奥方は酒が入ると…なんともいい声で啼くそうですよ」




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