〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第70章 天色、椛、幸福の螺旋❀織田信長❀
「この蒼い宝石の意味を知っているか」
「意味……?」
「これは、幸せを呼ぶ石と言われていてな。人との絆を強めると言った意味の他に、夢を実現する力を与えてくれると言う意味もある」
静かに静かに、美依の瞳を見ながら話す。
それは全て、己の心が思っていることだ。
俺は素直にそれに従うだけ。
美依に…伝えねばならない言葉を、ありのまま選ぶだけだ。
「美依、俺は天下統一まで、まだ途上の段階だ。貴様とこの蒼い石は、よく似ている。貴様は俺に、幸せと力を与えてくれる。これからも俺の傍で……俺と俺の志を支えてはくれないか?」
「信長、様……」
「また、この蒼い金剛石の宝石言葉は……」
────『永遠』と『幸せ』だ
「美依、貴様を心から愛している。貴様を…永遠に幸せにする。俺は貴様の『かれし』ではなく『夫』となりたい。この先も、共に歩いてはくれぬか。俺の、妻になってはくれないか……?」
────ザァァァァァァァ……!!
その時、一陣の風が薙いだ。
それは美依の艶やかな髪をなびかせ……
まるで、全てをさらうかのように吹き荒ぶ。
「信長、さまっ……」
美依の顔が、くしゃりと歪んだ。
いつしか瞳には涙が溜まり……
今にも零れそうに、目の縁で輝いている。
俺はくすっと笑い、それを拭うように目元に唇を押し当てた。
塩辛いはずの涙は、何故か甘く感じ……
そのまま肌を唇で辿れば、美依が弱々しく言葉を紡いできた。
「いいん、ですか?私っ……」
「ん……?」
「信長様の傍に、ずっと居ていいんですか……?」
(何を当たり前の事を言う)
俺には貴様しかいないと言うのに。
貴様以外……見えないと言うのに。
美依が傍に居なければ、息も出来ない。
貴様は俺を、ずっと傍で温めるのだろう?
賭けに負けた、あの時から……
────俺の全ては、貴様のものだ、美依
「貴様でなくて、誰が居ると言うのだ?もう、俺に永遠に愛され奪われる覚悟を決めろ、離さない、ずっと…離しはしない……美依」