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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第70章 天色、椛、幸福の螺旋❀織田信長❀




「────美依」

「ふぇ?」

「ここで何をしている?」

「わっ……!」




美依の背中でしゃがみ込み、ふわりと小さな身体を抱きすくめる。
すると、美依は間抜けた声を上げ、肩をびくりと震わせた。

びっくりしたように振り向く美依と視線が絡めば……

その目は真っ赤に潤み、その黒々とした大きな瞳の中に、俺が呆れたように笑う姿が確認出来た。




「信長様……」

「秀吉から、貴様がここで涼んでいると聞いてな」

「は、はい。少し酔っちゃいました…へへっ」

「そのようだな、顔が熱いし…ふわふわしているぞ」




肩に回した手で、頬を優しく撫でる。
吸い付くような柔らかな頬は、ほかほかと火照っていて……

そのふにゃふにゃとした口調からも、まだ酔いは冷めていないようだという事が解った。

そう言えば、身体もまだ熱を帯びて温かい。
まるで俺に抱かれた後のようだ、そんな事を思った。




「足を水に浸して、寒くはないか」

「んー、冷たくて気持ちいいですよ」

「だが、気温自体はそんなに高くはないからな…あまり浸かっていると冷えるぞ」

「大丈夫ですったらー」

「ならば、確認してやろう」

「ひゃっ……!」




俺は後ろから抱き締めたまま、美依の片足を掴んで、ひょいと踵(かかと)を掬い上げた。

美依が素っ頓狂な声を上げたが、気にしない。
濡れた小さな足を掴んでみれば……
案の定、足はすっかり冷たくなっていて、俺は呆れたように小さく溜息を吐いた。




「こんなに冷えきっているではないか」

「だって、熱いんですもん」

「俺が温めてやる、川から上がるぞ」




そのまま美依を抱え上げ、川から少し離れた所に移動する。

胡座を組み、その上に美依を座らせ……
背中から抱え込むようにして、美依の身体を囲った。

そして、膝を折って座る美依の足の先端を、両手でふわりと包み込む。

冷えきって縮こまる指先をそっと撫でてやれば……
美依は恥ずかしそうに俯きながら、その撫でられている足先を一心に見つめていた。






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