〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第7章 聖なる夜に煽れる溺愛を ❀石田三成❀
(つまり、誰かと夫婦になる事も無いんだな)
そう思って、ちらっと美依を見る。
自分はこうして美依と恋仲になり、いつかは祝言を挙げたいなと思っていて。
とてもじゃないが、少女のような人生は送れないと思った。
男として、人並みの『情欲』もあるし…
修道誓願を立て禁欲的な信仰生活なんて、とても出来ないと思う。
(この場に相応しくない考えですね、私は)
「…っ、どうしたの、三成君」
「いいえ、なんでもありません…でも、こうしていていいですか?」
心の本音に思わず苦笑し、美依の肩をやんわり抱くと。
美依はびっくりしたように、また恥ずかしそうに頬を染め…
やがて、身体を預けて小さく笑った。
────…………
「なんか素敵なクリスマス・イヴだったなぁ」
人気の無くなった、夜の南蛮寺。
美依は祭壇の所に立ち、壁の十字架を見つめながら、うっとりした様子で言った。
あの後、小麦で作った食べ物と葡萄酒を皆で分けて食べる『聖餐式』や、賛美歌を歌うなど。
修道女の計らいで、切支丹でない我々も混ぜてもらい、体験させてもらうことが出来た。
それは本当に未知なる体験で…
信長などに言ったら、喜んで話に食いついて来そうだ。
そして、今日二十四日は『聖夜』として。
神の降誕を祝い、清らかな気持ちで過ごすのだろう。
宗教など、あまり興味のない自分でも…
その特別な夜に、とても神聖な気分になってくる。
「はい、とても貴重な体験でした。今日誘ってくださった美依様のおかげです、ありがとうございます」
「そんな…お礼を言われる事はしてないよ」
美依の横に立ち、肩を優しく抱いて礼を言うと。
少し照れたように、美依は顔を見上げてきた。
その表情になんだか愛しさを覚え……
思わず、額に唇を押し当てる。
すると、美依はますます恥ずかしそうに、顔を真っ赤にさせた。
(可愛いな、私のお姫様は)
心の中が、美依への愛しさで溢れてくる。
林檎のような顔を見るたび、その温かい身体に触れるたび。
心の柔らかい部分が刺激され、じわりと身体が疼いた。