〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第69章 〖誕生記念〗満ちる月、君を想へば❀伊達政宗❀
(この俺を放っておくとは、いい度胸してるじゃねぇか。しかも、他の男と仲良さげにするなんて……)
心の中で、もやもやが膨らんでいく。
そんな自分が非常にみっともない事は解っていた。
だって、美依は自分のためにしてくれているのだ。
俺の誕生日の準備を、他の武将達と頑張る。
それは、喜ばしいことなのに……
普段周りの奴らに可愛がられているあいつの事だ。
それはそれは仲良く準備を進めている事だろう。
それを思うだけで──……
不愉快な気分が胸を支配し、イライラするのを止められない。
(嫉妬、って言うんだよな、こーゆーの)
味噌汁に口を付けながら、その感情に名前を付ける。
まさかこの自分が、そんな感情に駆られる日が来るとは思わなかった。
自分は美依を好きで、美依も自分を好きで。
それは決して揺るがないと信じているし、中途半端な気持ちで美依に手を出す奴らに、負ける気はさらさらない。
そして、あいつが織田陣営に馴染んで、猫っ可愛がりされているのは、もはや承知の上だ。
だから、そんな感情は無意味なのに。
沸き上がる『もやもや』は手が付けられなくて、自分でも制御が効かないのだ。
────それだけ、あいつに惚れてるって事か
「おい、三成」
夕刻、公務を済ませてから登城した俺は、広間から出てきた三成をふん捕まえ、廊下へと誘い出した。
三成は、何が何だか解らんといった表情で、不機嫌な俺を見ながら首を傾げ……
やがて、何かに気がついたように『ああ!』と手をぽんと叩いた。
「宴までもう少しお待ちくださいね、待ちきれないのは解りますが」
「違う、美依はどうした」
「美依様でしたら、台所に…料理の最終仕上げをすると張り切っておられますよ」
「一人でか」
「いいえ、秀吉様もご一緒です」
また沸き上がる、モヤッとした気持ち。
今日一日、美依の姿を見ていないのもあって、余計に他の男と一緒に居るという事実に苛立ちを覚えた。
俺以外の男と、料理するんじゃねぇよ。
思考がねじ曲がって、美依のすること成すこと、全てに俺が一緒でなければと、強い独占欲が滲み出る。