第68章 蜜な想いはくちびるから《後編》❀徳川家康❀

「……美依」

「ん？………あっ」




俺がすっと顔を動かし、耳にちゅっと口づけると、美依はピクっと肩を跳ねさせた。

あの時も思った、もっと先に進みたいって。
美依の声を聞いて、自分が爆発しそうになった。

今なら…それを望んでも構わないだろう？
だって想いは繋がった、それならば……

────身体も、ひとつに溶けたい




「耳への口づけは誘惑なんだって」

「いえや、す……」

「俺、あの時思ったよ。俺の誘うがままに溺れてほしいって。だから、今も誘ってる」

「……っ」

「俺に抱かれなよって…誘ってるんだけど」




すると、美依は顔を真っ赤にしながらも…
ゆっくり、俺の首に腕を回した。

そして、耳元で囁かれる。
『優しくしてね……』と。
恥じらいの台詞を、耳に注ぎ込まれて。

ゾクッと腰が熱くなったのは、言うまでもない。

優しくなんて、当たり前。
愛しいあんたを、乱暴になんて扱えないから。
ただそれは……『出来る限り』とだけ言っておく。

素肌を暴いていけば、美依の肌は桃色に染まっていた。

それに溶け合わせるように……
俺の熱い肌も、重ね合わせて障子に影を落としていった。

















────…………

















ねぇ、美依
口づけられて自覚したって言ってたけど

それまでは、俺のこと、どう思ってたの？

天邪鬼なひねくれ者？
ただの料理の味見役？

俺は──……








(ずっとずっと前から、あんたのこと、好きだったよ)








ちゅっ…じゅるっ、ぴちゃ……


「ぁっ…ぁあっ…いえや、すぅ……！」

「んっ…美依……」

「そ、んな…んっ、舐めちゃ、だめぇ……」

「ここへの口づけも意味があるのかな。この蜜を零す口にも…可愛すぎて、いつまでも口づけていたくなるけど」




しどけなく開かれた脚の間に顔を埋め、そのヒクつく愛らしい花弁を唇で愛撫する。

絶え間なく甘い蜜を垂らして、馨しい匂いを漂わせて……

それは淫らで綺麗な蜜華。
いつまでもいつまでも愛でていたくなるような、魅惑の華だ。