〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第7章 聖なる夜に煽れる溺愛を ❀石田三成❀
「では、その美依様が見つけた南蛮寺に行ってみましょうか。私も行ったことがないので、楽しみです」
そのまま美依の手を引き、歩き出す。
美依は少し頬を染め、はにかんで手を握り返してきた。
十二月二十四日。
神降誕前夜の聖なる夜に……
美依と逢瀬を楽しむ。
それは、なんだか『特別』な気がして。
美依と歩く歩幅を合わせながら、浮つく心をなんとか抑えた。
────…………
美依が見つけたと言っていた南蛮寺は、町から少し奥まった、人気のない所にこじんまりと建っていた。
見掛けは何の変哲もない、ただの建物だが……
扉に十字架が飾ってあり。
紛れもなく、切支丹達の聖堂である。
「なんか、ちょっとドキドキするね」
「ふふっ、そうですね。私も初めて立ち入る場所なので緊張しています」
扉を開ける前に、二人で顔を見合わせて笑みを交わし合い。
そして、ゆっくり扉を開いて、中に足を踏み入れた。
中は一方向に向かって長椅子が並び……
その先の壁には大きな十字架が掛けられていて。
十字架の左右には七色に光る窓。
そして、その十字架の前に、数人の人影。
なんと一人の少女が、水差しから頭に水を掛けられている瞬間だった。
「わっ……何をやっているんだろう」
いきなり目に飛び込んできた光景に、二人で焦って顔を見合わせる。
すると、十字架の前にいた数人の中から、修道女らしい一人の女がこちらに気が付き、静々と歩いてやってきた。
「お祈りでしょうか?懺悔でしょうか?」
鈴を転がしたような響きを持った、綺麗な声で言葉を掛けられ、思わず心臓が一回高鳴る。
すると、美依が少し申し訳なさそうに、修道女に話しかけた。
「その、お祈りでも、懺悔でもなくて……見学と言うか、ここが気になったから入ってきてしまったんです。お邪魔だったでしょうか、すみません」
「あら、そうだったんですね」
修道女はにっこりと微笑み……
そして、また丁寧かつ綺麗な声色で説明をする。
「今は洗礼式の最中なんです。宜しければ、後ろで見学なさいますか?ちょうど今、洗礼している所なのです」