〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第7章 聖なる夜に煽れる溺愛を ❀石田三成❀
『美依様の事が好きです』
『私も三成君の事が好き』
そんな風に想いを交わしたのは、肥前に来る少し前の事。
思い切って打ち明けた胸の内。
それを、美依は受け入れてくれた。
それからは美依の事が、可愛くて可愛くて……
一緒に肥前へ来れたのも、とても嬉しかった。
二人の関係は、信長のみ知っている。
もしかしたら、美依を肥前行きに同行させたのは、信長の粋な計らいだったかもしれない。
「こうして美依様と出かけるのは初めてですね」
「うん、そうだね。今日ちょっと散歩に行ってね、いつもと違う道を通ったら…小さい教会を見つけたの。ぜひ三成君と行ってみたいなぁと思って」
「教会……?」
「うん……ああ、ここでは南蛮寺と言うのかな」
「南蛮寺…美依様は切支丹(キリシタン)だったのですか?」
────切支丹(キリシタン)
鉄砲伝来と同時に、一緒に日本へ入ってきた、異国の宗教『きりすと教』。
その宣教師を伴天連(バテレン)と呼び、伴天連達によって布教活動が行われ……
その信者を『切支丹(キリシタン)』と呼ぶ。
南蛮寺とは、その切支丹達が神を崇めるための場所。
日本に建てられた南蛮風の教会堂の通称を言う。
まさか、美依が切支丹だったとは……
驚きを隠せず美依の顔を見ると、美依は慌てて顔の前で手を振った。
「え、私はキリシタンではないよ!ほら、今日は十二月二十四日で、クリスマス・イヴだから…一回クリスマスに教会って行ってみたかったの。それに聞いたら、クリスマスは夜でも礼拝や聖餐式をやったりするんだって」
「くりすますいぶ……?」
「二十五日はキリスト教の神様が生まれた日なんだよ。だから二十五日にはお祝いで降誕祭をやるんだけど、二十四日の晩も前夜祭をやったりするんだ」
「へぇ…降誕祭。美依様は博識ですね!」
きりすと教の神様が、生まれた祝いの祭り。
その神聖な響きに、思わず心が騒ぐ。
異国の文化は、まだ知らぬ事も多い。
文献では知識は学べても、実際に肌で感じてみないと解らない事も多々ある。
それに、美依が経験したいと言うなら……
反対する理由は、微塵もない。