〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第67章 蜜な想いはくちびるから《前編》❀徳川家康❀
「……っ!」
ちゅっ…ちゅぅっ……
美依が身体を強ばらせ、小さく息を詰める中、耳たぶを食む甘い水音が響く。
なんか…堪らないな、これ。
すごい気分的に高ぶるし、それに……
身体も徐々に熱くなってきて…参る。
「い、いえやっ……!」
「んっ……」
「ちょっ…と……!」
(美依、好きだよ、気づいて…美依)
そんな風に願いながら、口づけを繰り返す。
耳への口づけは『誘惑』だ。
耳は性感帯の一つらしい、当然『その気』にさせたいという意味が込められている。
このまま、俺に流されてもいいから。
だから…誘うがままに溺れなよ、美依。
何となく火照り始めた身体を持て余し、熱く息が漏れるままに、耳を唇で攻め続ける。
と、思わずぺろりと。
美依の耳の縁に沿って、舌を這わせた時だった。
「ぁんっ……!」
(……っっ!)
美依が今まで聞いた事のないような、艶かしい声を漏らした。
それを聞き、俺は反射的に唇を耳から離す。
まずい、これはまずい。
これ以上、こんな声を聞いたら止まれなくなってしまう。
もっと啼かせたいと。
蝕み始めた男の本能が、見え隠れし始めて…
俺は美依の肩に置いた手を、そっと離した。
「……ごめん、美依」
「い、えや、す……」
「ちょっと、頭、冷やす……」
俺はそのまま美依に背中を向け、台所を後にした。
とりあえず美依から離れないと。
そんな風に思えて、闇雲に廊下を歩く。
顔が火照って真っ赤になっている気がする。
顔だけじゃない、身体まで……
疼いて疼いて、熱く火照って止まらなかった。
(美依、欲しい、欲しい……)
頭の中で、そればかりが繰り返される。
美依の可愛い、濡れた声。
たった一回聞いただけで、爆発しそうになった。
そして、もっと、もっと聞きたいと。
醜い男の欲望が、心を支配して。
もっと色んな場所に口づけたとしたら。
美依はどんな風に、悦ぶのかとか。
────攻めるどころか、犯してしまいそうだ