〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第66章 牡丹と微熱に魅せられて〖誕生記念〗❀真田幸村❀
「幸村が初めて贈ってくれた指輪だもん、おもちゃでもなんでも嬉しいよ。私…これで本当に幸村のものになれたんだね」
(……っっ!)
次の瞬間。
柔らかくて熱いものが、首筋に触れた。
美依に口づけられた、と思うや否や、ちゅうっと吸われて、甘く痺れが走る。
「おい、美依っ……!」
「へへっ、私ばっか痕つけられるの癪だから、お返し。私は幸村のものになったけど、幸村だって私のものなんだから」
────勘弁してくれ
何故、こいつはこんなに、俺をかき乱すのが得意なのか。
可愛くて、素直なくせに、天然小悪魔で。
乱れると愛らしくて、もう何もかも……
(────俺はもう、お前の虜だ)
「そんなことして、どうなるか解ってんのか?」
「え?」
「仕返しだな、今日は帰さねー」
「へ?!」
素っ頓狂な声を上げる美依に、俺は頭だけ振り返り。
間近で美依の顔を見ながら、ずっと思っていた『心の本音』を曝け出す。
「このまま宿に直行な」
「待って待って、帰らないと怒られちゃう……!」
「ちょっと外泊したからって言われんのかよ。でも駄目、仕返しだから帰さねー」
「ちょっ…幸村!」
「もう一回、褥でお前をぐずぐずにする。朝まで離してやらねーからな」
「でも……!」
「……駄目だろ、初めてを外だけで終わらすなんて。やり直させろ、お前を……もっと愛したい」
馬鹿みたいな、心の内。
本当は、まだ美依と離れたくない。
溶け合って……くっついていたい。
すると、美依はりんご飴みたいに頬を染め。
少し俯きながら……
「誕生日の贈り物、私をあげるって言うつもりだった。だから……幸村の、好きにして、いいよ」
そう、ぽつりと言った。
ああ、本当に美依は……
流されやすいのか、それとも。
美依も、まだ離れたくないと思ってくれてんのかな。
俺は嬉しくなって、いつも通り。
『おー』とだけ返した。
そして、宿に向かうための足が早くなってしまったのも、これまた言うまでもない。