〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第65章 お兄ちゃんじゃいられない!❀光秀END❀
「三人で楽しく呑みたい、本当にそれだけか?」
「それ以外、何があるって言うんだよ」
「お前、まだ美依を狙っているのではないだろうな?」
「あ、あのな……」
「すぐ簡単に美依を諦められるとは思えん、その疑惑が晴れるまでは酒は駄目だ。今日は諦めろ」
(我ながら上手く言い訳をつけたな)
こう言ってしまえば、秀吉だって無理強いはしないだろう。
元々は恋敵同士だったのだ。
お互いがどれほど美依を好きだったかも、よく解っている。
だからこそ、簡単には近づけさせられない。
秀吉に限って、無理やり奪ってくるなんて事はないだろうが……
それでも、美依との時間は何よりも大事だ。
いくら兄貴分だとしても、邪魔はさせない。
秀吉は少し申し訳ないが、手を引いてもらおう。
そう思っていると、秀吉は眉の間にシワを寄せ、若干食い下がり気味に言ってきた。
「俺が美依の兄貴なのは変わりないからな、いくらお前が美依と恋仲になっても」
「それは知っている。だが、一回はそれを越えたのだろう?そのような男をすぐに信用出来ると思うか?」
「二人で呑みたいなんて言ってないだろ、あくまでも三人でだ。それも駄目なのか?」
「駄目だ、美依の酔う姿を晒せるか」
「……思いっきり、そっちが本音だろ、光秀」
(あ、しまった)
思わず、本音がポロッと漏れてしまった時。
廊下の奥から、俺と秀吉を呼ぶ声が聞こえ、俺達は二人してそちらの方に視線をやった。
見れば、たった今話題にしていた張本人が、手を振りながらこちらへやってくる。
相変わらずの、ふにゃふにゃした笑顔を浮かべて。
それを見ているだけで気が抜けそうだが、それは秀吉も同じだったようだ。
垂れ目を一層垂れさせて、こちらへ来る美依を出迎えた。
「美依、今光秀とお前に会いに行こうとしてた」
「おい、秀吉……」
「あれ、そうだったの?あ、そのお酒……」
「この前の礼だ、また三人で呑もう」
「うん、いいよー!」
「おい、勝手に決めるな、お断りだ!」
思わず声を荒らげると、美依はキョトンとして見上げてきて。
やがて、少しムッとしたような表情になり、俺に対して不満を表してきた。