〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第65章 お兄ちゃんじゃいられない!❀光秀END❀
「これでいいのか?」
「はい…ありがとうございます」
「暑くはないか、真夏だぞ」
「暑くないです、幸せだからいいんです」
すると、美依はさらに身体を寄せ、胸元にぴったりとくっついてきた。
伝わる柔い温もり、肌の感触。
そして、ほのかに香る、甘い酒の匂い……
それらは心の柔らかい部分を刺激し、酒に酔わない筈の俺をクラリと変に酔わせる。
(生殺しにする気か、俺を)
胸元の美依をそっと抱き締め、苦笑が漏れた。
このままでは眠れないな、俺が。
そう確信するけれど、でも美依を手放す気にはなれない。
ずっとこうして温もりを感じていたい。
身体は火照ってくるが、美依がこれで眠れるならば。
そう思い、疼く身体に無視を決め込んで、そっと美依の瞼に口づけを落とした。
「少し眠れ、美依」
「はい、おやすみなさい……」
「ああ、おやすみ」
美依はそのまま目を閉じた。
すぐさま聞こえてくる、安らかな寝息。
ここまで気を許されるのは、ある意味心外だが。
……お楽しみは、後に取っておくと決めたのだし。
そう思って、自らも軽く目を閉じる。
美依の匂いに包まれたなら、安心して眠れるのかもしれないが。
それでもやっぱり…男の欲は消えないな。
俺は胸で可愛く眠る美依の髪を優しく梳きながら…
長い夜になるだろうと、少し苦い気持ちも覚えたのだった。
────…………
少し涼しい夜風が、頬を撫でる。
美依が飾ったであろう風鈴が、風でチリンッ…と小気味よい音を鳴らし。
そして、静かな部屋に、美依の穏やかな寝息が響く。
頭を抱えた手で髪を梳いてやれば、美依は気持ち良さそうに身動ぎをし……
「光秀さん、大好き……」
そう男殺しの寝言を吐いては、さらに胸元にくっついた。
これはもう、生殺しもいいとこである。
はだけ始めた裾からは素足が伸び、次第に己の脚と絡み合って…
その滑らかな肌の質感を、直接的に感じているのだから。