〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第65章 お兄ちゃんじゃいられない!❀光秀END❀
『私にとって、貴方は兄じゃないから…だから、私をあげてもいいんだもん』
美依は可愛らしく酔っ払いながら、そう漏らし。
その『貴方』が俺だと知って……
我ながら頬が緩むのが止められなかった。
秀吉は『美依が選んだなら仕方ない』と、名残惜しそうに部屋から出ていき、今は美依と二人きり。
酔っ払って眠そうに畳に転がる美依を見ながら、思わずくすっと苦笑が漏れた。
「美依、眠いのか」
「ん〜…ちょっと眠いです……」
「そうか、なら」
「ふわぁっ……!」
美依の小さな身体をひょいと抱き上げる。
その華奢で熱い身体を抱き締めていると、身体が芯から疼いて堪らないが……
それでもそれを堪え、美依を褥に運んだ。
こんなにふわふわ状態の女を抱くのは、少々気が引けるし。
酒に酔った勢いと解釈されては、心外である。
だったら少し眠って、酔いが冷めてから、改めて奪った方がいい。
「美依、少し寝ろ。傍に付いていてやろう、眠って酔いを冷ませ」
毛布をめくり、布団に美依を寝かしつける。
お楽しみは、後に取っておこう。
その方が、きっと待った分だけ何倍も幸せなはずだ。
そう思いながら、毛布を掛けてやり、褥に寝転んだ美依の頭を撫でると…
美依は熱を孕んだ瞳で、下から見上げてきた。
「光秀さんは寝ないんですか……?」
「お前が眠れば、俺も寝る」
「あの……」
「どうした?」
「隣で…一緒に眠りませんか……?」
「……」
その遠慮しがちな口調。
そのくせ、もぞもぞと動いて、ちゃっかり自分の隣に隙間を空けたりして。
何故……こうも愛らしいのか。
惚れた欲目だとはしても、美依が本当に可愛らしく見えて堪らない。
(まったく…美依には敵う気がしない、色々な意味でな)
俺は呆れたようにくすっと笑むと、再度毛布をめくって美依の隣に寝転んだ。
そして、身体をぴったりと寄せ……
二つの身体に毛布を被せると、美依の頭を包むように、ふわりと撫でて細い髪を指に絡めた。