• テキストサイズ

〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第63章 お兄ちゃんじゃいられない!〖共通〗❀秀吉VS光秀❀




『酒を酌み交わす』と言うのは、単純ではない。

それは、相手も晒すが自分も曝け出すと言う意味だ。
しかも、秀吉と光秀が知りたいのは、美依自身の事だと言う事。

酒が入った美依がどうなるのか。
一番曝け出してほしいのは、美依なのだから。

それを踏まえれば、どんな状況になるか……

二人の気持ちにすら気づけない美依が、それに気づける訳もなく、美依発案のこの作戦は。

予想通りと言うか、当たり前の展開に転がるハメになる。



















「……」

「……」

「ほらほら、二人ともそっぽ向いてないで飲みましょう?とっても美味しいですよ、このお酒!」




盃を片手に持ったまま明後日の方を向き、目も合わせない秀吉と光秀の間に入り、美依がニコニコと飲み進める。

案の定と言うか当然と言うか、美依に言われて喜んで自室に訪れた二人は、お互いの姿を見て一気に不機嫌モードに突入した。

だって、美依と二人きりで酒が飲めると思って、意気揚々とやってきたのに…
何故、お前が居るんだと、そーゆー意味で。

なんと言っても、美依からの誘い。
しかも酒が入るなら、その流れでその先も…

二人は当然の如く、そこまで考えていたのだ。
だから、出鼻をくじかれたと言っても過言ではない。




「ほらほら、生の果物が入ったお酒なんだよ、とっても飲み口がいいんだよ、秀吉さん」

「……そうだな」

「ほら、この茄子の煮浸しも私が作ったんです。光秀さんも食べてみてください」

「……ああ」




美依がいくら必死に話しかけても、二人は不機嫌なまま、生返事をするだけだ。

最初は頑張っていた美依も、次第に話しかける声が小さくなり始め…
ついには三人での沈黙が訪れる。




「……」

「……」

「……」




(やっぱり、二人を仲良くさせようなんて無理なのかな)

美依は黙ったまま俯き、手元の盃に視線を落とした。
お酒を一緒に飲めれば、心も開きやすくなると思ったのだが…

あまりに上手くいかないので、心が沈み、泣けてくる。

美依が思わず、ぐすっと鼻をすすると。
その音を聞いた秀吉と光秀は、揃って美依の方を振り返った。






/ 1230ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp