〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第63章 お兄ちゃんじゃいられない!〖共通〗❀秀吉VS光秀❀
────しかし、状況は一変する
美依にとって、秀吉と光秀は、
『過保護な兄』のような存在だった。
けれど、それはいつしか恋心へと発展し、
それを決定づける出来事が起きる。
今はまだ『兄と妹』のような関係だけれど。
その出来事をきっかけに、距離は一気に縮まり……
お互い想いを通わせ合うようになるのだ。
────…………
(うー……遅くなっちゃった)
それからしばらく経った夜。
美依は依頼品の納品を済ませ、城への帰途についていた。
今回はかなりまとまった依頼だったため、こなすのも大変だったが、その分だけ大きな収入になった。
思ってた以上の金額に、思わず頬が緩む。
美依はこの依頼で得たお金で『ある目論見』を実行しようと思っていたからだ。
それは『酒の力で秀吉と光秀を仲良くさせよう』作戦である。
(ここのお酒は飲みやすくて良いって聞いたんだよね)
帰る途中で酒屋に寄り、目的の酒を買い込む。
針子仲間からの情報によると、その酒屋には南蛮から仕入れた、少し高価でも飲みやすい果実酒を取り扱っているらしい。
酒というものは、心の本音が出やすい。
酔っ払えば、己の腹の中を晒すことになり……
お互いの本音が解れば、秀吉も光秀もすんなり仲良く出来るのでは?
美依はそう安直に考え、それを実行に移すことに決めた。
「そんなに買い込んで、何かの宴かい?」
「はい、親しい人達と飲むんです」
「その酒は飲み口はいいが、結構酔いやすいから気をつけな」
「解りました、ありがとうございます!」
酒屋の店主からの注意も半分に聞き、美依は自室に酒とつまみになる料理を持ち込んだ。
秀吉と光秀には、すでに話をつけてある。
公務が終わったら、城の部屋で酒を飲もうと…勿論、お互いが来るのは秘密だが。
三人でなどと言ったら、二人はきっと来ない。
だから、お互いが来るのは内緒にして、二人を誘った。
二人は快諾してくれたので、あとは酒の力で上手くお互い解り合えれば…
美依は馬鹿みたいに単純に、そう思っていた。
美依の楽観的で安直な思考は、もはや天然物と言っても過言ではない。