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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第6章 境界線のジレンマ《後編》❀徳川家康❀






「あれ…いえやすぅ……?」




その時、背中から可愛らしい寝ぼけた声が聞こえ。
お姫様が起きたな、とコロンと寝返りを打った。

案の定、美依がふわふわと目を覚ましていて……

頬を撫で、額に一回口づけると。
美依は嬉しそうに、幸せそうに目を細めた。




「おはよう、美依」

「ん、おはよう……」

「身体は辛くない…?大丈夫?」

「うん、平気……なんか家康、いい匂いするね」




そう言われたので、身体をひねって腕を伸ばし。
林檎をまた一欠片取ると、『これじゃない?』と美依の目の前に差し出した。

すると、美依はきらきらと子供のように目を光らせ。

手から食べそうになったので、ひょいと手を持ち上げ、それを阻止した。




「むー……家康、何するの?」

「林檎、食べたい?」

「食べたい」

「じゃあ……ここからなら食べていいよ」




そう言って、林檎の欠片の端っこを口で咥える。
そのまま美依に口を差し出し、指で林檎を示した。

美依は顔を真っ赤にして『口から食べるの!?』と声を荒らげたが……

意地悪く瞳で笑んで美依を見ると、美依は観念したように唇を近づけた。




シャクッ……




美依がそのまま、反対端を小さくかじる。

その瞬間。
口から林檎を離し、美依の唇を己の唇で塞いだ。

林檎の甘酸っぱい味が、口に広がり。

それはやはり美依の味だと確信して、さらに深く唇を奪う。

美依は苦しそうに、こぶしでぽかぽかと胸元を叩いていたが……

思考回路まで蕩かしてやると、観念したように、また表情もトロトロに蕩かした。











美依が可愛くて、大切にしすぎて、一歩が踏み出せなかった俺。

それでもこうして、美依を甘やかす事が出来た。

一回は暴走したけれど。
やっぱり思う。

こんなに愛せるのは、美依しか居ないと。

みっともなく欲情したのも。
それは美依だからだ。

間違いを犯して、掴めた愛もきっとある。

だから大事にしたい。
美依も、美依とこれから過ごす時間も……




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