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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第6章 境界線のジレンマ《後編》❀徳川家康❀





蕩けた身体と、蕩けた心。
最高に気持ちイイのは、きっと美依だから。


『愛してるよ』


それは言葉だけじゃ足りないから。
身体で、気持ちで、伝えていく。

大事な美依。
可愛い可愛い、俺の美依。

もっと蕩かしてあげるから、
もっと甘やかしてあげるから。




(一生、覚悟してなよ、美依)




そんな、溢れんばかりの幸せな時間は……
飽きることなく、濃密に過ぎていった。

お互いの身体を抱き締めあって、温もりを感じて。

そして、疲れ果てて、眠りに落ちていった──……














────…………















(……もう、夕方か……)




障子越しに、赤い日差しが入ってくる。
ふわりと目を覚ましてみると、部屋の中はすっかり夕刻の空気で。

障子の柱が、長々と布団に影を落としていた。

腕の中では、美依がすやすやと穏やかに寝息を立てていて……

そのまだ温かい身体を抱きすくめると、温もりが移って何故か酷く安心した。




(良かった、美依を甘やかす事が出来て……)




この心地よい気怠さは、美依を充分に愛せた証拠だ。

欲だけに走った時とは違い、充実感と達成感が、気持ち良く心の中を支配する。

愛する者の身体を重ねるって、こんなに気持ちいい事なんだな。

改めてそう実感し、思わず目元が緩んだ。






(……あれ、この匂い………)






ふと、甘酸っぱい香りが鼻に付き、目を泳がせる。

一回美依を離して、反対側に寝返りを打つと。
さっき美依に食べさせようと、皮を剥いた林檎が目に入った。

枕元に置きっぱなしにしたままだったらしい。

持っていけと持たせてくれた、秀吉の気持ちもあるし。

そう思って、一欠片取って口に運ぶ。




シャリっ……




噛み砕けば、匂いそのまま、甘酸っぱい味。
中の蜜の甘さや、清々しい酸味が口に広がり……


なんか林檎って、火照った美依に似てるな。


そんな事を思って、苦笑が漏れた。
みずみずしい所や、蜜が甘い所や……

こうして、真っ赤に熟す所も。

何故か初恋のような、そんな澄んだ気持ちを思い出させ……
心がきゅんと声を上げた。




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