〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第63章 お兄ちゃんじゃいられない!〖共通〗❀秀吉VS光秀❀
「わっ…光秀さんっ……!」
「相当な勢いで倒れ込んだからな、足を捻っているかもしれん。部屋でじっくり見てやろう」
「え、大丈夫ですよ!」
「おいこら、光秀!ちょっと待て!」
そのまますたすたと早足で書庫を去ろうとする光秀を、秀吉が追いかける。
何、いい所をかっさらおうとしてるのか。
つまりはそーゆー訳で。
秀吉としては、一から十まで面倒を見たいのだ。
こんな横槍を入れられては、溜まったもんじゃない。
「俺がやるから、お前は手を出すな!」
「別に誰がやっても同じだろう、独占欲か、秀吉」
「なっ…それはお前だろうが!」
「光秀さん、秀吉さん、ちょっと……!」
光秀に抱きかかえられながら、美依は苦笑するしかない。
美依にとっては、どちらも兄のようなもの。
二人とも性格こそ違うが…とても頼りがいのある存在だ。
(もっと、仲良くなってくれればいいのに)
美依は頭の上で繰り返される言い合いを聞きながら…
二人に気づかれないように、小さくため息をついた。
────…………
美依を部屋まで送り、怪我をしていない事を確かめると、そのまま秀吉と光秀は、中庭に面する廊下で向かい合って睨み合っていた。
視線がぶつかり、火花が散る。
その火花の意味がなんなのか……
それを確かめようと、先に口を開いたのは秀吉だった。
「お前、美依のこと、どう思ってんだ?」
その直球な物言いに、光秀は唇を弧に描き……
『さも当然』と言ったように、飄々と答える。
「どうって…お前と同じだが?」
「なっ……」
「美依が好きなんだろう、秀吉。妹としてはではなく、一人の女として」
「同じって言うからには、お前も美依の事が好きなんだな、光秀?」
「そこは否定しない、俺は女としてしか見ていない」
「だから、なんか最近やたら美依に甘いんだな?」
いつもは腹の読めない光秀。
しかし…こんなにあっさり認めるからには、美依には相当惚れ込んでいるのだろう。
自分が美依を想うように。
光秀もまた、身に熱が巣食っているのだろうと。
秀吉は何故か確信的にそう思えた。