〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第62章 狂華-kuruibana-《後編》❀伊達政宗❀
「……悪かったな、早とちりして」
「本当だよ、まったくもう」
「子が流れでもしたら……」
「流れるかもね」
「え」
「……そんなわけ、ないでしょ!」
美依の顔を見れば、すでに母の貫禄たっぷりの笑みをしていて。
自分のお腹を優しく撫でながら……
とても愛おしげに答えた。
「私と政宗の子だもん、きっと大丈夫」
「美依……」
「心配しないで、私がちゃんと守るから。せっかく私達の所に舞い降りた奇跡なんだよ?」
(……自信たっぷりだな、すでに母親か)
きっと、やたら『女』に見えたのも、そーゆー母としての強さや自信があるからだろうな。
そんな風に思え、俺は思わず苦笑した。
なら、俺も父親として、二人を守らねばならない。
こいつの人生は、丸ごと俺がもらうと約束した。
それなら、もちろん子どももそうだ。
折角宿った、俺達の愛し合った結晶なのだから。
「なら、祝言を早めに挙げるぞ」
「え……」
「腹が目立つとまずいだろ、色々」
「わ、私お嫁さんになれるんだ…嬉しいなぁ……」
なんだ、その反応。
頬まで染めて、可愛すぎるだろ。
母親かと思ったら、まだ初心なまんまじゃねぇか。
そーゆー純な所が本当に可愛くて参る。
俺は美依に身体を寄せて座り直すと、肩を抱きながら言葉を紡いだ。
「これから忙しくなるから、体調整えとけよ?」
「うん、大丈夫」
「無理しろって事じゃねぇぞ?」
「あはは、解ってる……ねぇ、政宗」
「なんだ」
「庭の時は一回も口づけしてないから…口づけとか、し、してみませんか」
「……っっ、あのな……」
(まずい、可愛すぎて、また襲いたくなる)
男はどうしようもない。
腹に子が居たって、欲情するんだからな。
それでも……
お前との口づけは気持ちイイ。
何度だってしたいから…してやるよ。
俺はすっと美依の顎を掬うと、そのまま柔らかく唇を重ねた。
みっともない欲が出てこないように。
必死に止まるのが精一杯だった事は内緒にしとく。
だって…格好悪いだろ?
お前の前では、いつでも格好いい俺で居たいんだ。