〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第61章 狂華-kuruibana-《前編》❀伊達政宗❀
「政宗…今日若い女中さんを抱きかかえて運んであげたんだって?」
「ああ、目の前ですっ転んで、足を捻ってな」
「そ、そっか…なら、仕方ないよね。でも、出来れば…肩を貸すくらいにしてほしかったな」
「なんだ、ヤキモチか?」
政宗が意地悪っぽく瞳を覗いてくる。
『ヤキモチか』と聞かれ、その通りにしか答えられない私は、小さく頷いた。
仕方ないとは言え、政宗の腕に女の人が抱きかかえられるなんて、正直面白くない。
みっともないとは解っていても……
モヤモヤせずにはいられなかった。
「…ったく、お前は……」
気まずくて、思わず俯いていると、政宗の呆れたような声が聞こえ…
次の瞬間、政宗が私に覆いかぶさってきた。
身体が褥に沈み、指は絡め取られて縫い付けられ…
びっくりして見上げると、政宗が熱を孕んだ瞳で、私を見下ろしているのが解り。
私の心臓は、どくんと大きな音を立てた。
「ま、政宗……?」
「本当に可愛い奴。無自覚に煽ってんの、解ってないだろ」
政宗が、ちゅっ…と汗ばんだ額に口づけを落とす。
そのまま、鼻先、両頬と淡い口づけが落ちてきて、最後に唇を啄むと、にやりと不敵な笑みを浮かべた。
「なら、ヤキモチ妬かせた詫びに、もう一回お前をぐずぐずになるまで愛してやる」
「えっ…だって今日はもうしないって……!」
「気が変わった。今すぐ欲しくなった…抱かれろよ」
「……っっ」
「悪かった、機嫌直せ、な?」
そう言って、また身体に手を這わせ始める。
再度脚が絡まり、一気に熱が呼び起こされた。
そのまま優しく焦らすように、全身に唇が這い……
またみっともなく啼かされながら、政宗の手や唇の愛撫に身を任せていく。
(ほんと、政宗には敵わない)
私は再び熱に溺れ……
甘美な蜜毒に冒されていった。
二人交わる影が、障子に映し出され。
外の雨に負けないくらいの激しい感情が、色濃い空気を作って部屋中を支配していた。
────ヤキモチを妬くのは、いつも私
それは解りきったことだった。
政宗の性格を考えても、決して嫉妬なんてしない。
でも、少し寂しいな。
私も余裕なく、政宗が嫉妬に駆られる姿を見てみたい。
そんなのは、夢のまた夢かな?