〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第59章 可憐に華、恋せよ乙女《後編》❀明智光秀❀
「だったら、ちゃんと光秀さんも答えてください!なんで私が他の男の人と会うだけで、そんなに怒るのか!」
「苛々するからだ」
「そんなの理由になりません!」
「立派な理由だろう、お前だって俺が女と会っていただけで、何故そんなに目くじらを立てる?!」
「そんなのっ…知りませんっ!」
「それこそ理由にならないだろう!」
苛々がさらに募っていく。
理由も言わず、女と会っていた事を咎める美依。
俺は立派な理由があるぞ。
苛々する理由が、情けなくみっともないと思っても。
これほど見知らぬ男に『嫉妬』する理由が。
「私、光秀さんが解りません!」
「ハッキリ言わないと、お前は解らないのか?!」
「言わないで通じるなんて思わないで!」
「好きだからに決まっているだろう!」
(あ………)
ぽろっと口から零れた『本音』に、思わず赤面して手で口元を覆う。
しかし、時すでに遅し。
美依の耳にはしっかり届いてしまったようで。
美依も真っ赤になって『え……』と口から言葉を零しながら、俺を驚いたような瞳で見つめてきた。
しまった、こんな風に言う筈ではなかったのに。
もっと言う機会を見計らって、きちんとした時と場所で伝える予定であったのに。
「…………っっ」
俺は美依の視線がいたたまれなくなり、思わず視線を逸らした。
そして美依の顔の横に置いた自分の手を見ながら、ひねくれ者らしい言葉を放つ。
「……納得したなら、俺を解れ」
「光、秀、さん……」
「お前が言えと言ったのだからな」
どんなに抑えても、抗えない想い
美依は俺にとって、たった一人の女で、
とっくに『小娘』なんて存在ではない事
惹かれて惹かれて、溺れまくっている事
それは、自分の中の赤裸々な想い
いつでも影を歩き、陽の光なんて眩しかった俺の
────たった一つだけ欲した、温かな光
それを求めて嫉妬して、何が悪い?
俺だって、一人の男だ
好きな女に何かあれば、嫉妬くらいする
美依、お前はどうなんだ
熱く滾った激情が心を渦巻く
今にも溢れてしまいそうに……
お前の心を求めて、甘く啼いては疼く