〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第58章 可憐に華、恋せよ乙女《前編》❀明智光秀❀
「好きだと認めた瞬間に失恋とか…本当にもう、やるせないよ!」
「まだ失恋と決まった訳じゃないんじゃない?」
「でも…すごく仲良さげに歩いてたの!なんか間に入れない雰囲気だった……!」
「そうだよねー、やっぱりそういう関係なのかな?」
「私なんか小娘だし、全然女として見られてないし…なんかもう全然勝てないよ!」
酔った勢いに任せて、心の本音が出るわ出るわ…
いつの間に、こんなに心に溜め込んでいたのだろう。
……いつの間に、こんなに光秀さんを好きになってたんだろう。
結局私、心の中で認められないだけで。
助けてもらった『あの日』から……きっと光秀さんの事が好きだったんだ。
(認めちゃえば、こんなに簡単なのに、それにしたってすでに失恋……!)
本当に間が悪いったらありゃしない。
頑固になってないで、すぐに素直になってれば、もう少し違ったかな。
せめて『好き』と伝えるタイミングくらいあったかな。
後手になってから、色々思いが駆け巡る。
私が思わず飲む手を止め、若干涙ぐんでいると……
横に座っていた友達、絢(あや)さんが、私の肩をぽんと叩いた。
「ならさ、次に進むのもありなんじゃない?」
「次に?」
「世の中の半分は男なんだし、一人にこだわっていても辛いだけでしょう。きっと他にも美依さんを好きになってくれる素敵な人が、きっと居るわよ」
「絢さん……」
すると、目の前に座っていた友達も。
その男友達も、みんなそうだそうだと、慰めてくれた。
それを聞き、少しだけ尖った心が和らいでくる。
そうだよね、叶わない恋を追いかけたって不毛だ。
別の女の人が居るのに、好きでいたって……
だったら、他に目を向けるのも手かもしれない。
光秀さんじゃなくたって、きっと素敵な人はいる。
私だけを見て、私だけに愛を囁いてくれる、そんな人が。
「ありがとう、みんな……」
「うん、元気だして、飲も飲も!」
「ありがとう、今日は飲んじゃう!」
「じゃあ、もう一回乾杯だね!」
友達と顔を見合わせ、泣き笑いで笑う。
ああ、友達っていいな。
そんな風に思って、私はその晩。
光秀さんの全てを忘れるように、友達と騒ぎ、お酒を次々に飲み進めていった。