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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第57章 〖誕生記念〗二人だけの誕生日《後編》❀織田信長❀





「…………っっ!」




その時。
信長様の顔が、ゆっくり私に近づいてきた。




(口づけされる、この子に)




そう思った私は、自然と手が動いて……
気がつけば、信長様の唇を自分の両手で塞いでいた。

勿論、口づけを拒まれた少年信長様は目を見開き、びっくりしたように私を見下ろしてきて。

私はふっと笑い、首を横に振りながら……
信長様の『ある事』に気が付き、信長様を諭した。




「こーゆー事は、無理しちゃダメですよ」

「は?」

「手、震えてますよ。女の人を押し倒した事なんて、ないんでしょう?それなのに、力づくで自分のものにするなんて、出来ませんよ」

「……っっ」




私は、震えながら私の肩を押さえつける少年の手に、そっと触れた。

こんな風に背伸びして、知識ばかりついて……
背伸びなんかしなくても、いつかは必ず大人になる。

この少年は、きっとこれから、もっと辛いことも大変な事も、たくさん経験して……大人になって。










────そして、本能寺で私と出会うんだ










「信長様……私、貴方と約束します」



私はむっくりと起き上がると、そのまま信長様の小さな手を、きゅっと一回握りしめた。

そして、自分の髪に触れると、そこから玉簪を引き抜き……
その華奢な手に、そっと握らせた。




「私、とっても遠くから来たんです。そして、そこへ帰らなくてはならなくなる、必ず」

「遠くに、帰るのか……?」

「はい……でもね。貴方が大きくなって、とても大きな野望を持って、そのせいで冷えてしまった時に…また貴方の元に帰ってきます」

「……」

「また、必ず貴方に会いに来ます、約束です。その時まで、その簪を持っていて。貴方へ誕生日の贈り物として、約束の証として……それを渡しておきますね」




そう言って、そっと左手の小指に、自分の小指を絡ませる。

約束の指切り。
絶対、貴方の元へ会いに行くから……

だから、その純粋な心を忘れないで。

私を好きだと言ってくれた気持ちを。
人の温かさを、ぬくもりを。

寂しいならば、私を求めて。

貴方を温めるために、必ず私達はめぐり逢う。
その日までの約束、今日を忘れないように。



────ねえ、小さな信長様?









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