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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第57章 〖誕生記念〗二人だけの誕生日《後編》❀織田信長❀




「おい、貴様。酒を注げ」

「まだ子供でしょう、そんなに飲むと身体に良くないですよ?」

「うるさい、もう元服はした。立派な大人だ」

「はいはい解りました、今注ぎますね」




信長様が小さな手で酒杯を差し出す。
それに、私は苦笑しながら、市で手に入れた地酒をゆっくり注いだ。

信長様には、もう数えきれないくらいお酌をしてきて、信長様はお酒に強いというのは知ってたけど……

この頃の信長様は、まだそこまで強くはないみたい。
現に、頬が赤くなっているのが解るし……



(背伸びしたい年頃なんだな、可愛いなぁ……)



そんな風に思って、ふふっと笑う。
背伸びして、お酒を飲んで……
私の作った料理に箸を伸ばしては、とても美味しそうに口に頬張る。

そんな信長様の姿が、なんだかとっても愛しかった。




「貴様、何が可笑しい」

「いえ、なんでもないですよ。美味しいですか?」

「ああ、この様に美味いものは久しぶりに食した」

「ふふっ、それは良かったです」




信長様がぱくぱくと箸を進めるのを見て、私も煮物を一口頬張る。

うん、味も染みてるし、よく出来てる。
信長様に料理を食べさせたくて、結構やってるからな。

まさか、少年の信長様に振る舞うハメになるとは思わなかったけど……

内心苦笑しながら、再度一口頬張ると。
今まで料理を食べていた信長様が、じーっとこちらを見ていたので、私は思わず箸を止めた。




「どうかしましたか?」

「……いや、何でもない」




(……何でもないって言う割には、顔が赤いような?)


ふいっとそっぽを向いてしまった信長様を見ると、さっきに増して頬が赤くなっているような気がする。

本格的に酔っ払っちゃったかな。
私は水差しから湯呑みに水を注ぐと、それを信長様に差し出しながら、顔を覗き見た。




「酔っちゃいましたか、大丈夫ですか?」

「平気だ、水など要らん」

「でも、顔赤いですよ?少し水飲んだ方が……」

「要らんと言ったら要らん、しつこい」




信長様があまりに言うので、私は湯呑みを持つ手を引っ込める。

信長様って結構強情だよね、酔うのは格好悪いとか思ってるのかも。

私がそんな風に思っていると、信長様は小さく息を吐いて……
横目で私を見ながら、なんだかぽつりと言葉を漏らした。





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