〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第55章 尋常に勝負!-秘密の恋文-❀家康END❀
「ねぇ、美依……」
「家康、文を読んだんだよね?」
「う、うん……」
「じゃあ、私の好きな人、解ったんだよね……?」
問いかけようとして、逆に問いかけられ、ドキリとする。
しかも、なんだこの目。
こちらを真剣に見つめる美依は、少し頬を染め、瞳が少し潤んできらきら光って……
なんだろう、すごく可愛くて鼓動がうるさい。
どうしよう、なんて答えたらいい?
まさか文を濡らして、読めませんでした、なんて。
それを確認しに来たなんて、格好悪い事言えない。
「……っ、美依……?」
俺が答えられずに黙っていると。
急に美依が胸元に擦り寄ってきた。
そして、俺の胸に顔を埋めながら……
ぽつりぽつりと、恥ずかしそうに話し出す。
「文を読んだのが、家康で良かった、本当に」
「美依……」
「文にも書いたけど、私…家康の事がすきなの」
「え……?」
「だから、会いに来てくれて嬉しかった。家康の気持ちも…聞かせて欲しいな」
(俺の事が好きって、文にも書いたって、俺の名前を?)
美依の言葉に、顔中が火照りだす。
確かあの文の内容は、こうだった。
『きっと出会った時から、貴方に恋をした。
だいすきだよ────…………』
美依は、俺の事が好きだと。
美依が書いた名前は、俺だった。
そういう事だろう?
────俺達は、想い合っていたんだ
「ありがとう、美依。俺も…だいすき」
天邪鬼な自分からは考えられないくらい、するりと心の本音が口から零れ落ちる。
そのまま腕を動かし、華奢な美依を包み込んだ。
こんな幸せって、あっていいんだろうか?
戸惑いの中にも、湧き出る愛しさには勝てなくて。
心の臓が、痛いほどに締め付けられる。
「実は会いに来たのは、あの文…名前の部分だけ濡らして、そこだけ読めなくて」
「え……」
「誰の名前を書いたのか、確認したかったんだ。でも美依は、大好きだよ家康って書いたんでしょ?」
「そ、そうだよ……」
「本当に……俺でいいの?」
美依の頭を撫でながら問いかける。
すると、顔を埋めたまま、美依は小さく頷いた。