〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第54章 尋常に勝負!-秘密の恋文-❀政宗END❀
(……あれ、美依…………?)
俺が朧気ながら目を覚ますと、部屋は真っ暗で。
すっかり日が落ち、夜になってしまったんだと気がついた。
少し開いた障子から入る風が、火照った肌に心地よい。
そんな事より、重要なのは。
さっき一緒に眠りについたはずの美依が腕の中に居ないと言うことだ。
思わず何かを探すように、腕を動かす。
しかし、腕は虚しく空を切り、何も捕らえる事が出来なかった。
「美依……?」
「あ、政宗起きた?」
掠れた声で名前を呼ぶと、脚の下の方から声がした。
身体を起こしてみると、美依が俺の脱ぎ捨てた着物を綺麗に衣桁に掛けている姿が目に映る。
わざわざ自分の着物を退かして、俺のを掛けて……
俺はまだ若干気怠い頭を振り払い、美依に声をかけた。
「何やってんだ、美依」
「政宗の着物、ずぶ濡れだったでしょ?こうしとかないと、シワシワになっちゃうから……」
「そんなのいいから、こっち来い」
「え?」
「抱いて目が覚めて、女が居ないのは寂しい」
少々拗ねたように言うと、美依は照れたように笑い、再度褥の中に入っていた。
そして、美依を腕に囲い、二人で横になる。
美依の身体も、まだあったかいな……
そんな風に思いながら、優しく背中をさすり、反対の手で艶やかな髪を梳いた。
「身体、辛くないか?」
「ううん、割と平気だよ」
「でも、結構血も出たしな……」
「あ、汚してごめんなさい……」
「謝る事じゃないだろ、最初はそんなもんだ。洗えば落ちるものを、そんな風に謝る必要ない」
俺のせいなのに、謝るな。
額に口づけながらそう言ったら、美依は急に頬を染め……
気まずそうに身をよじり、俺に背中を向けた。
「な、なんか急に恥ずかしくなってきた」
「え?」
「政宗は、事後の恋人には、みんなこんな風に優しくしてきたの?」
「……」
(これは、なんて言うか……)
美依の小さすぎる背中を見て、愛しさが零れ落ちる。
何を気にしてんだ、馬鹿。
俺は美依を背中から改めて掻き抱き、肩に顎を乗せて、耳元で囁いてやる。