〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第53章 尋常に勝負!-秘密の恋文-❀秀吉END❀
「美依……?!」
「わっ…秀吉、さん、はだか……!」
「そりゃそうだろ、今湯を浴びようとしてたんだからな!いきなり、入ってくるな……」
瞬時に頬を赤くし、背中を向ける美依。
俺も俺で、突然入ってきた想い人に、つい心臓が高鳴り……
思わず、素っ気ない言葉を放った。
だって、想いが通じ合っていると解ってから、初めて顔を合わせる。
一体、どんな顔をすれば良いのか……
まるで青臭いガキのように、戸惑う自分が居た。
「ど、どうしたんだ、そんなに急いで……」
「ひ、秀吉さんが私の文を受け取ったと聞いて…つい、居ても立っても居られなくて、そしたらここに居るって女中さんが……」
「ゆ、湯を浴びたら、逢いに行こうとしてた……」
「そ、そう……」
(……なんだこれ、なんか居た堪れねぇ……!)
心の奥が、むず痒くなってくる。
美依は背中を向けているが、きっとめちゃくちゃ照れているのだろう。
そんな雰囲気を、手を取るように感じてしまい……
変に身体が火照り始めるのが解った。
美依の小さな背中。
その華奢な肩も、首筋から見える白い肌も、全て自分のものだと思ったら。
────なんか、堪らない気持ちがせり上がってくる
「光秀さんに聞いたよ、川に落ちたって……」
「お、おう……」
「お、お湯を浴びるの解ってて、ここへ来ちゃってごめん……その、部屋で待ってる、からっ……!」
「……っっ美依……!」
再度、脱衣所を出てこうとした美依を。
俺は、咄嗟に引き止めていた。
手を伸ばし、急いで美依の細い腕を掴む。
そのまま、ぐいっと引き寄せ……
美依の身体を、背中から掻き抱いた。
「……行くな、美依」
思わず耳元で囁くと、美依の肩がぴくりと上がる。
ガチガチに固まっている身体。
それをまるで解すように、回した腕で優しく美依の身体をさすった。
大事にしたい、大事にしたいんだ。
でも……堪らない。
せり上がった熱い想いが、今にも堰を切って溢れてしまいそうになっている。