〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第52章 尋常に勝負!-秘密の恋文-〖共通〗❀秀吉VS政宗VS家康❀
思わず目を見開き、言葉を失った三人に。
光秀は煽るように言葉を続けた。
「お前達、美依の想い人が気にならないのか?三人とも臆病になって、美依に直接確かめられない……そうだろう?」
「そ、それは……」
「自分の運命は自分で掴み取れ。文が自分宛なら良い、もし他の男の名前が書いてあっても……それを破り捨て、会いに行く事で、何かが変わるかもしれん」
「光秀さん……」
「臆病にならず、追いかけろ」
「お前達、美依が好きなんだろう?」
────刹那
心に浮かんだのは、可愛らしい美依の笑顔。
いつでも、自分だけに向けてほしいと……
そう思っていた、焦がれるほどに愛しい女。
『秀吉さん』
もう、兄貴と妹としてじゃなく、
『政宗』
一方的に相手を求めるわけではなく、
『家康』
俺だって、幸せを掴み取りたい。
もし、想い合えたなら……
決して、決して離したりはしない。
────美依は、俺のものだ
「くそっ……!」
瞬間、弾けたように駆け出したのは、家康だった。
それを見て、秀吉、政宗も我先にと追いかけ始める。
どんどん川の流れに乗って、流されていく瓶。
それを見失わないように……
三人で全力で走って行く。
「ぜってぇ負けねぇ!」
「誰が負けるか……!」
「瓶を手に入れるのは、俺です!」
「俺が文を手に入れる、絶対…俺が美依に会いに行く!」
「上等だ!」
走りながら、三人の視線が絡む。
それぞれの想いが炎になって、火花を散らした。
「いざ、尋常に勝負────…………!!」
────こうして、戦いの幕が上がった
秀吉、政宗、家康。
美依の恋文の行方をかけて。
手にしたものが、夕刻美依に会う。
それはすなわち……想いを伝える事。
美依の想い人は誰なのか。
自分か、それとも別の誰かなのか。
全てが記されている、秘密の恋文。
「やれやれ、青い春というものか。誰が勝利を収めるのか…見物だな」
光秀は、少し眩しそうに目を細め…
三人の背中を見送り、優しく笑みを漏らした。