〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第52章 尋常に勝負!-秘密の恋文-〖共通〗❀秀吉VS政宗VS家康❀
────三日後、昼餉時過ぎ
城下外れの、川の土手にある一本松。
そこに、秀吉、政宗、家康、光秀の四人が集まっていた。
今はもう夏。
この季節にこの時間帯は、本当に日照りが強い。
高い太陽に照りつけられ『青春の汗』などかかなくても、すでに汗だくになりそうな予感だが……
それでも、決着をつけるため。
三人は光秀の言葉を待った。
「で、光秀。どうやって決着をつけるんだ」
「その手に持ってる瓶はなんですか?」
「まさか、酒じゃないだろうな…飲み比べか?俺は下戸なんだぞ」
「まぁ待て、俺の話を聞け。これは、この勝負で最も重要なものだ」
光秀は唇に弧を描き、片手を上げて見せた。
その手には、酒瓶のようなものが握られている。
それが一体なんだと言うのだろうか?
「実は、この瓶の中には文が入っている」
「文?」
「美依が想い人に宛てた、恋文だ」
「美依が書いた恋文?!」
三人は一斉に声を荒らげて、その瓶を凝視した。
この中に、美依が書いた文が入っている。
しかも、想い人に宛てた、恋文が……
食い入るような視線が瓶に向けられたとこで。
光秀は、意地悪くにやりと笑った。
「そう、この恋文の入った瓶をだな…こうするんだ」
すると、光秀は瓶の持った手を大きく振りかぶり…
何を思ったか、川の方へ、その瓶を放り投げた。
「ちょっ……光秀?!」
「何を……!」
────じゃぷんっっ!!
勢いよく川に落ちた、恋文入りの瓶。
それは、見事に早い川の流れに乗り……
見る間に川下に向かって、流れていく。
唖然として、それを見ていた三人。
一番最初に我に帰った秀吉は、すごい剣幕で光秀の胸ぐらを掴んだ。
「おまっ…何やってんだ、折角の美依の文が!」
「なら、追いかければいいだろう」
「はぁ?!」
「美依にはこう伝えてある。『その文を読んだ誰かが、夕刻にお前に会いに来る』と。そうしたら、あの小娘はなんと言ったと思う?」
『せっかくだったら、その文を宛てた人……私の好きな人が会いに来てくれたらいいな。それはきっと、想いが伝わった証拠ですもんね』