〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第52章 尋常に勝負!-秘密の恋文-〖共通〗❀秀吉VS政宗VS家康❀
────走る、走る、走る
流れ出る汗もそのままに
全力で、出来る限りの力を費やし
男三人が、たった一通の恋文のために
愛しい女を賭けて、流れる瓶を追いかける
「くそっ…川の流れ、早ぇ……!」
「どこかに引っ掛からないと、取れないんじゃないのか?!」
「海に流れる前に追いつかないと……!」
「もう、川に入るしかないか……!」
「勝手に入れ、秀吉。背中押してやる」
「やめろ、顔面から入ったらどうすんだ!」
「はい、ど────ん」
ばっしゃぁぁぁぁぁんっっっ!!
「ぶはっ!家康、てめぇ俺を押すな!」
「政宗さんが一番タチ悪いんで、お仕置きを」
「うわっ……ずぶ濡れだぞ、政宗」
「お前も道連れだ────っっ!!」
「わっ…政宗さん、なに引っ張って……!」
「俺を巻き添えにするな、家康……!!」
どばしゃぁあぁぁぁぁぁぁんっっ!!
「つめたっ…政宗さん、あんたね……!」
「馬鹿野郎、家康!お前が腕を掴むから、俺まで落ちただろうが!」
「家康、秀吉、水も滴るいい男だぞ。俺には敵わねぇけどな」
「おい、瓶はどこに行った?!」
「あ、あんな遠くまで流れて……!」
「え、二人とも泳ぐんですか?!」
「くっそ、着物が重い、水を吸って……!」
「家康が最初に馬鹿やるからだ!」
「政宗さんはタチが悪いから、丁度いいんです!」
「そもそもはお前が俺の背中を押すとか言うからだろ、政宗!」
「上等じゃねぇか、かかってこい!」
「お前はちったぁ頭を冷やせ、政宗!」
「二人が取っ組み合いしてる間に、俺が瓶を」
「させるかぁぁ────っっ!!」
「あああ、見失ったじゃないですか、瓶!」
「げっ!早く追いかけろ、海まで流れるなんて冗談じゃねぇ!」
「瓶、どこだ、瓶!」
「美依の恋文が……!」
「うわっ、深みに足が…お、溺れる……!」
「ああもう、しっかりしてくださいよ、政宗さん!」
ああ、みっともない、大の大人の大喧嘩。
川で取っ組み合い、瓶を追いかけては、また見失い……
すったもんだの大乱闘。
いつしか瓶は川岸の枝に引っ掛かり。
そこを拾い上げた事で、この大乱闘に決着がつくこととなる。