〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第52章 尋常に勝負!-秘密の恋文-〖共通〗❀秀吉VS政宗VS家康❀
「俺がもっと甘くしてやろうか?」
「え、政宗?」
「ほら、顔をもっと近づけろ……口移しだ」
「へ?!ちょっ…近い……!」
「はい、政宗さん。そこまでですよ」
政宗が美依に、口移しでスイカを食べさせようとした瞬間。
政宗の隣に座っていた家康が、政宗の後ろ襟を掴んで、ぐいっと引っ張る。
政宗は首が後ろにガクッと倒れ……
くるっと振り向くと、怪訝そうに家康を見つめた。
「なーにすんだ、家康」
「あんたは人前でくっつきすぎです、恥ずかしい」
「したいと思ったからしただけだ、美依、続きを…」
「美依、こっち来て種飛ばしやろう?」
「家康、やるやる!」
「あっ!おい、美依っ……!」
肩を抱く政宗の腕をするりと抜け、美依は誰もいない家康の反対隣に、ふわりと腰かける。
そして、シャクッとスイカを頬張ると。
もぐもぐと食べて、やがて庭にぷっと種を飛ばした。
「あれ、案外飛ばないなぁ」
「下手っぴ美依」
「むっ…じゃあ家康がやってみて」
「いいよ」
家康はニヤリと笑い、一口スイカを口に含むと。
スイカの実だけを食べ、そして、ぷっと種を飛ばした。
すると、種は綺麗な弧を描いて飛んでいき……
庭の松の木を飛び越え、その先に消えていった。
「わぁっ…家康、すごい!」
「勝ったから、何かご褒美ちょうだい、美依」
「えー!そんなぁ」
「家康、お前意外とえげつないんだよ!」
家康と美依の間に割り込んだのは、秀吉だ。
折角美依が隣に居たのに、政宗のせいで離れてしまい……
若干不機嫌そうにしながら、家康に物申す。
「スイカの種飛ばしなら負けねぇぞ、家康」
「なら、勝負しますか、秀吉さん」
「いいぞ、勝ったら美依のご褒美だからな」
「待て、それなら俺もやる!」
そこに参戦してきたのは政宗だ。
いつの間にか『美依のご褒美』を賭けた、スイカの種飛ばし勝負が始まってしまい……
天然の鈍感娘美依は、その真意など解らず、ニコニコと三人の様子を見ながら。
「みんな、本当に仲良いんだね」
のほほーんと、一人スイカを頬張った。