〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第51章 花時雨と恋情のアイロニー《後編》❀石田三成❀
「────…………っっ!」
私はぎりっと歯を食いしばり、美依に一気に覆いかぶさると。
美依の太ももに手を掛け、大きく上に開かせた。
もう……これ以上は待てない。
これ以上、頭で考えていたら……
壊れてしまう、心も身体も。
そして、美依自身を壊してしまう。
(一刻も早く、繋がりたい)
もう、消毒とか、政宗様が許せないとか。
そんな行為や感情は、どうでも良かった。
すぐに美依の温かさを、この身に感じて。
解放されたかった。
この、どす黒い感情から。
「三成君、ごめん、なさいっ……」
すると、ぽつりと小さな声が聞こえ。
ハッと気がつけば、組み敷かれた美依が、身体の下から真っ赤な瞳で見上げてきていた。
「私が無防備な姿を晒したから、こんなに三成君を怒らせた」
「え……?」
「すごく、恐い顔してる…当たり前だよね、私、三成君以外の人に抱かれてしまったんだから、怒るのは当然なの」
「美依……」
「お願い、もうこんな事しないから、だからっ…私を、嫌いにならないで……」
そう、怯えたように懇願する美依。
そんな美依を見て、改めて私は自分の愚かさに気がついた。
『優しくするのに、理由がいるのですか?』
そんな事を言いながら、美依を責めた。
言葉ではない、身体で、触れ方で。
心が軋み、醜く、みっともない感情に駆られ。
知らず知らずの内に、犯された美依を追い込んでいたのだ。
一番、自分責めているのは美依自身なのに。
こんな風に怯えさせた。
消毒するなんて言いながら、晒した己の未熟さ。
────それは醜いほどの、嫉妬心と独占欲
「違う、ごめなさい、美依様……」
私は一回脚から手を離すと、ふわりと優しく美依様を抱き締めた。
そして、泣きそうな瞳にそっと口づける。
怯えさせた、美依様を。
きっと今まで、己は般若のような顔をしていたのだろう。
犯された美依様に必要な事。
それは、無理やり自分のものにするのではなく。
────安心するように、抱き締める事だ