〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第51章 花時雨と恋情のアイロニー《後編》❀石田三成❀
「そんな身体で出ていくな、辛いだろ?」
「離して、もう顔も見たくない……!」
「なら、別の部屋にいるから、とりあえず寝ろ」
「やだ、帰るの……!」
(美依様、政宗様……!)
まるで泣きそうに、顔を真っ赤にした美依様。
不自然にも落ち着きを払った様子の政宗様。
二人の間で、何かあったのだと。
それが手に取るように解り……
私は居ても立っても居られず、その場から二人目指して再度駆け出した。
「美依様っ……!」
少し声を荒らげて名前を呼ぶと、二人は一斉にこちらを向く。
そのまま近寄り、少し荒れた息を抑えながら、二人の顔を交互に見ると……
美依様は、何故か怯えたように、私に視線を向けてきた。
「三成、君……」
「美依様が帰られていないと聞いて…もしかしたら、まだここにいるのではないかと」
「……っっ」
「……っ!美依様?!」
瞬間、美依様の身体が、ガクッと崩れ。
慌てて支えると、美依様は私に寄りかかって……
そのまま、意識を飛ばしたようだった。
その様子を見た政宗様は、小さくため息を付き。
どこか安心したように、私に話しかけてきた。
「お前の顔を見て、気が抜けたんだろ」
「政宗様、これは一体……」
「……悪かったな」
「え?」
「そのまま美依を連れて帰れ、昨日……美依を寝かさなかったからな」
「寝かさなかったって……」
「その意味は、一つしかないだろ?」
『俺は、昨日美依をむちゃくちゃに抱いた』
────人の情とは、なんと皮肉なものなのか
私はそのまま自分の御殿へ美依様を運び。
褥に寝かしつけると、そのまま大きく息をついた。
そして、眠る美依様の顔を見ながら……
その滑らかな頬に指を滑らせ、再度息を吐く。
そのため息は、すでにどんな意味を持つか、解らなかった。
政宗様との会話が、ひたすらに頭の中を回って。
やはり昨日、あの状態の美依様を送り出した事に、後悔を覚えていた。