〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第50章 花時雨と恋情のアイロニー《前編》❀石田三成❀
「政宗…目、赤いよ?」
「そんな事、どうでもいい。お前、艶っぽい顔してるって言っただろ?」
「う、うん……」
「俺だって男だから解るんだよ、女がどういう時に、そんな表情をするのか」
「あっ……」
すると、政宗は手を滑らせて、私の濡れた着物の袷に手を掛けた。
そのまま、当然のように前を開かれる。
途端に露わになった私の胸元、そこに政宗は視線を落とし……
ふっと、不敵に笑った。
「やっぱり、こんな色っぽい痕つけて……気持ちいい事、してきたんだろ、三成と」
「なっ……!」
「騙せると思ってんのか、どう見たって口づけの痕だろ、これ?」
そう言って、私の胸元を指で撫でる。
確かに三成君はさっき、私の胸元に何回も噛み付いていた。
それを思い出し、余計に顔がカッと熱くなる。
まるで、政宗に『あの時』を全て見られていたような、そんな心地さえ覚えて……
私は恥ずかしくなって、衿元を開く政宗の手を掴んだ。
「政宗、やめてよっ……」
「嫌だ、って言ったら?」
「なんか、政宗…今日変だよ?!」
「変じゃない。そんな痕つけてるお前が悪い、それに躰も濡れてるし、その表情…煽ってんだろ、俺を」
「何言って……きゃあ!」
瞬間。
政宗は私の言葉を遮り、私の身体を一気に横抱きにした。
いきなり、ふわりと身体が宙に浮き……
訳が解らず、私はじたばたと足を動かす。
そのまま移動を開始した政宗に、私は身をよじりながら、必死に抗議した。
「何するの、政宗っ…離して!」
「嫌だって言ってんだろ、お前の言う事なんか聞かない」
「私をどうする気なの……?!」
「俺はお前に言ったよな、男に無防備な姿を晒すなって」
すると、政宗は上から私を見下ろし……
艶っぽい笑みを浮かべながら、甘い声色で囁いた。
「それは、俺も例外じゃないって……教えてやる」
────刹那
私はこの後、政宗にどうされるのか、
直感的に悟ってしまった。
熱に濡れた、男の瞳。
まるで蒼い炎が燃えて揺らめくような。
そんな政宗に宿してる感情は……『情欲』
政宗は、私を
手篭めに、する気なんだ────…………