〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第5章 境界線のジレンマ《前編》❀徳川家康❀
「美依……」
「い、家康ぅぅ〜……っっ!」
「美依、お、落ち着いて……」
(美依、これ以上は駄目だ、これ以上は……!)
伝わる美依の温かい感触と熱。
湿り気を帯びた、その身体から感じる『美依』に。
理性が境界線ぎりぎりでせめぎ合う。
このまま美依を喰らいつきたい、黒い自分と。
美依を守ってやりたい、白い自分。
黒い自分に支配されたら、もう引き返せない。
それだけは確信出来た。
だから、なんとか理性を保つ。
欲望と理性を天秤に掛けても。
なんとか均衡を保とうと、美依を起こしにかかる。
「美依…一回、起きようか……」
少しだけ身体を起こし、覆いかぶさる美依に声を掛ける。
背中に片腕を回し、優しく撫でてやると……
美依は首からようやく腕を離し、身体を少し起こした。
……が。
身体を起こした美依の姿に。
目を奪われ、途端に思考が固まる。
胸元が乱れた、濡れた襦袢。
そこから見える、白い肌と胸元。
そこに、髪から滴った水滴が、つーっと流れ……
美依の胸の谷間へと、それは消えていった。
そのあまりの艶めかしさに。
一生懸命均衡を保っていた、理性の天秤がぐらつき。
それが、一気に『欲望』へ傾いたのが解った。
(…………っっ)
可愛い可愛い美依。
大事にしたくて、守ってやりたくて。
あまりに大切にしすぎて、手も出せなかった。
しかし──……
その白い肌、柔らかい身体も。
自分のものにしたい。
暴いて、啼かせて、乱して、
(────もっと、美依を、俺のものに、したい)
「ごめん、家康……取り乱して」
「……」
「…家康……?あっ…………!!」
瞬間。
身体を前に倒し、一気に美依の身体を床に組み敷いた。
顔の横で手首を押さえ、ものすごい力で固める。
初めて上から見下ろす美依の顔。
美依は驚いたように目を見開き……
半開きの唇から漏れる微かな吐息が、さらに身の内の熱を駆り立てた。