〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第48章 私を見つけて、戯れに❀家康END❀
「ありがとう、美依…ほんと大好き」
「家康……」
「ね……褥、行く?」
「え、でも謙信様が居るし……」
「関係ないよ、今すぐあんたを甘やかしたくなった」
「そ、そんなっ……」
俺と美依でこそこそとやっていると。
その桃色の空気にやられたらしい軍神は、最高に不機嫌になり……
すくっと縁側から立ち上がった。
「やれやれ、見てはいられんな。まぁ、美依が幸せならいい。よもぎ餅美味かった、また食わせろ」
そう言うと名残惜しそうに一回美依を見つめ、そのまま足早で庭から去って行った。
そんな軍神の後ろ姿を美依と見つめ……
思わず二人で顔を見合わせる。
一体あの人は敵国の縁側に、何をしに来たんだか。
宣戦布告をしに来たのか、なんなのか。
まったりとよもぎ餅を食べていたはいいが……
本当に……色々読めない人物である。
「謙信様、行っちゃった……」
「美依、寂しいの?」
「寂しくはないけど…私、謙信様の気持ちを踏みにじっちゃったのかな」
「……」
「好意を向けてくれるのは嬉しいけど、私はやっぱり家康が好きだし……」
(好いてくれる人を無下に出来ないか…美依らしいと言えば、美依らしいけど)
それでも、他の男の事は考えて欲しくない。
どれだけみっともないと解っていても……
それでも、美依は俺のものだ。
身体も、心も、頭のてっぺんから爪先まで。
俺は改めて美依に向き直りながら……
その小さな手を取り、ちゅっと爪先に口づけた。
「俺はかくれんぼで軍神に勝った。だから…美依が何を言っても無駄だよ」
「家康……」
「あんたを軍神には渡さないし、もう俺のものだから。全身に俺のものって痕、ついてるでしょ?」
「う、うん……」
「だから美依、他の男の事は考えないで。俺だけを…見てて」
いつからこんなに我儘になったのだろう。
美依が絡むと、余計に野心に火がつく。
絶対負けない。
絶対渡したくない。
そんな風に、心に激情が暴れ回る。
すると美依はそれを見抜いてか、にっこり笑って……
小さく『うん』と頷いた。