〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第47章 私を見つけて、戯れに〖共通〗❀家康VS謙信❀
「美依、ヨモギが摘みたいって言ってたでしょ。この辺ならいっぱいあるよ」
「本当だ!よもぎ餅を作ろうと思ってね」
「手伝うから、摘んじゃうよ」
「うんっ」
美依と一緒に和気あいあいと、ヨモギを摘み始める。
こっちは柔らかい、手に泥ついてるよ。
そんな会話をしながら、たまに美依の手に触れたり。
(そう、本来ならばこうなるはずだ)
知らず知らずのうちに、口元に笑みが浮かんで。
家康は謙信そっちのけで、美依と肩を寄せ合って一緒にヨモギ摘んでいった。
……が
今度は、謙信の方が面白くない。
お気に入りである美依が、別の男と仲良くしている。
二人で逢瀬をしようとしているのを阻止出来たのは、偶然な幸運でもあったが……
(……なんだ、この状況は)
今、愛しい美依は家康と、仲良しこよしで草を摘んでいる。
自分を放っといて、手まで触れさせて。
面白くない事、この上ない。
「美依、ヨモギとやらは摘めそうか」
「わっ…謙信様!」
謙信は美依の背後にしゃがみ込むと、美依を背中から抱き締め、肩口から前を覗いた。
びっくりした美依は若干頬を染め……
肩に顎を乗せる謙信に、照れくさそうに答える。
「はい、柔らかい部分をたくさん摘むので、よもぎ餅を作ったらみんなで食べましょうね」
「俺はお前と二人きりが良いのだがな」
「えっ……」
「ちょっと……近いよ、軍神」
すると、今度は家康が謙信の背後に回り込み、美依に回されている腕をべりっ!とひっぺがした。
家康の行動に顔をしかめる謙信。
振り返って家康を睨むと、冷たくも威厳のある口調で家康に物申す。
「何をする、徳川家康。邪魔をするな」
「邪魔をしてるのはあんたでしょ、軍神。元々は俺と美依の逢瀬だったのに」
「美依を他の男と二人きりにさせられるか、俺の美依に好き勝手をするな」
「その言葉、そのままそっくり返すよ、軍神」
「ちょっ…家康、謙信様!」
一触即発しそうな雰囲気に、美依が間に入る。
そして人差し指をぴっと立て、なんとか仲を取り持とうと一つの提案を申し出た。