〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第46章 だいすきだよ。❀真田幸村❀
ちゅっ…ぴちゃっ…ちゅぅっ……
「んっ…ふぅんっ…んんっ……」
「んっ…美依…んぅっ……」
幻想的で清らかな風景とは場違いな、甘い甘い水音が響いて。
美依の唇から漏れる、濡れた吐息も。
熱を上げ始めた身体も、可愛くて可愛くて……
思わず着物の袷に手を掛け、開こうとすると、美依が俺の手を掴んでそれを止めさせた。
「……何すんだよ」
「幸村、ここ外っ……」
「知ってる。でも、誰も居ねーから少しだけ」
「そんな……ぁっ!」
美依の手首をまとめ上げ、頭の上で片手で固定する。
そのまま空いた手で、やんわり襟元を開いた。
姿を見せた柔肌は、真っ白で、滑らかで。
それを今すぐ汚してしまいたいと、男の欲求だけが膨らんで、喉の奥を渇かせていく。
その飢えた渇きのまま、細い鎖骨辺りにかぷっと噛みついたら、そこには自分のものだという赤い華が咲いて…
それを見たら、喉だけでなく心も渇き出して、相反するように腰がゾクリと熱く疼いた。
「あー…これ、ちょっと……」
「幸村……?」
「もうまずい、色々堪えらんねー」
「……っっ」
「……欲しい、全部」
『少しだけ』なんて、馬鹿だった。
手を出せば、それだけで収まるわけがないと解っていたのに。
ちょっと噛み痕を見ただけで……
脆くも、理性という物は崩れ去った。
まるで懇願するように美依を見ていると、美依は小さくため息をついて。
そして、困った様に笑った。
「そーゆー顔するの禁止だよ」
「美依……」
「だめって言えなくなるでしょう?」
「……悪ぃ」
「謝らないでいいから…幸村の、好きにして」
そう言った美依は、顔が林檎みたいに赤くて。
そして、女の色香を放った、艶っぽい顔をしていた。
そよぐ風も、頬をくすぐって……
騒ぐ心に風を起こしては、優しく撫でていく。
眩い月が、俺達の姿を暴き。
これから起こる甘い蜜な時間の訪れを、空から見ているようだった。
全て全て、月明かりに晒されても……
俺の美依を求める気持ちは収まらず。
熱の中心がさらに熱くなって、気がつけば自分ではないような甘い声色で囁いていた。