〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第46章 だいすきだよ。❀真田幸村❀
────爽やかな夜風が、薙いで頬を掠める
夜でも鮮やかに咲き誇る野花達。
赤、黄、橙、白……
美依に作ってやった、お姫様の冠も。
その彩りは、愛らしい美依をさらに映えさせる。
特別な祝い方は知らない。
それでも、一年前と気持ちは全く変わらないから。
そう思って編み込む花に、気持ちを込めた。
美依が喜ぶか、どんな顔をして笑うか。
一年前も、それだけを考えて作ってやったのを思い出した。
「ゆき、むらっ……」
すると、美依は小さく唸るように名前を呼び…
手で俺の胸元をきゅっと掴んできた。
そのまま顔を埋めるように、擦り寄ってくる。
俺は美依の背中に腕を回し……
その小さな身体を、優しく掻き抱いた。
「……もう、ばかっ」
「ばかって言った方がばか」
「知らないよ、もう」
「うん」
「……でも、だいすき」
「……おー、知ってる」
そうして、顔を上げた美依と視線を絡めて笑い合う。
俺達はいつだってそうだ。
喧嘩したって、こうやって仲直りしてきた。
一年経ったってそうなんだから、俺達はずっとこんな感じなんだろう。
喧嘩して、また仲直りして、喧嘩して仲直りして。
そして…馬鹿みたいに一緒に居るんだろう。
(それって…すげー幸せだな)
「ひゃっ……!」
俺が美依の額にちゅっと口づけ、小さな身体を横抱きにすると、美依は小さく悲鳴を上げた。
そして、そのままふわりと花畑に降ろし……
その色とりどりの地面に、やんわり組み敷く。
指を絡めて、顔の横に縫い付け。
上から見下ろしてやると、美依は瞳を潤ませながら、俺を見上げてきた。
「……いい顔」
「ちょっ…幸村……!」
「可愛いし、欲しそうな顔してる」
「ゆきっ…んぅ……」
そのまま顔を近づけ、唇を塞ぐ。
しっとりと濡れた唇を舌でなぞると、ほんのり紅の味がした。
薄く開いてきた唇の隙間に舌をねじ込んで、逃げる美依を絡めとってやれば……
儚い吐息と一緒に、思考もぼやけて蕩けていく。