〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第46章 だいすきだよ。❀真田幸村❀
「……っっ!」
すると、美依は小さく息を飲んで、俯いた顔を上げてきた。
そして、頭に乗せてやった花冠に手で触れ……
びっくりしたように掠れた声で言葉を紡ぐ。
「……これ、花冠?」
「おー、上手いもんだろ。一年前もこうして作ってやったろ、覚えてねーの?」
「お、覚えてるけど、でもっ……」
美依は瞳を潤ませながら、唇を噛み締め。
やがて、またぷいっと視線を逸らした。
……なんだ、その可愛い態度は。
「だって幸村、知らねーって言ったじゃないっ…」
「まーな」
「なんてこと無い普通の日だって言うから。だから私、一人で浮かれてるんだと思って……」
「……」
(浮かれてたのかよ、ほんっとに可愛いな……)
心に愛しさが、ふつふつと生まれてくる。
コイツと過ごした一年間は、本当に色濃く、かけがえのないものだった。
喧嘩しながらも、振り回されながらも。
それでも一緒にいる事が幸せだった。
手を繋いで、屋台を見て回った夏祭りや。
一緒に見上げて、流れ星を見つけた日や。
蕩けるほど、身体を重ね合った愛しい夜も……
今まで感じたこと無かった、幸せの連続だった。
だから、これからも一緒に居たい。
幸せの連鎖をずっとずっと繋げて、
────歩いていきたい、この先も二人で。
「……こっち向けよ、お姫様」
俺は美依の両頬を手で包み、やんわり正面を向けさせる。
聞いてろよ、ちゃんと言うから。
たまには素直に、気持ちを伝えるから。
「お前、俺の性格…一番解ってんだろ?」
「幸村……」
「恥ずかしかったんだよ、毎日お前の事考えるだけでニヤけるし、毎日思い出すって事をしなくても、いつも頭の中にお前が居るし……」
「……っ」
「なんて事ない日だって毎日幸せだから、改めてお前に礼を言うとか、そーゆーの…恥ずかしいんだよ。でも、ちゃんと言うから」
しっかり瞳を見つめて伝える。
顔が火照っていたのは解っていた、でも。
恥ずかしくてもなんでも、伝えなきゃならない時はある。
「一年間、俺の傍に居てくれて、ありがとな。これからも傍に居ろよ、ずっと。俺はお前と一緒に居たい、だいすきだから。俺だけの……お姫様でいろよ、これからも」