〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第44章 姫百合と艶やかな純情《前編》❀明智光秀❀
(……なんだろう、なんか罪悪感みたいな………)
光秀さんの優しい表情や声を感じると、心が痛い。
なんか……裏切ってるみたいな気にさせられる。
変なの、どうして……?
私はそれを断ち切るように首を横に振ると、無理やりにっこり笑って再度徳利を光秀さんに差し出した。
「ふふっ、ならお酒飲む時間を楽しみましょう!さぁ、どうぞ」
「ああ、悪いな」
「注ぎますね……」
光秀さんが空の杯を差し出したので、私は少し近づき気味になって、徳利から蜂蜜酒を注ぐ。
すると、杯を持つ光秀さんの指と、徳利を持つ私の指が、何かの拍子にちょんと軽く触れ合った。
が、次の瞬間……
「……っっ!」
────カシャンッッ!!
「あっ……!」
光秀さんがビクッとなって手を引っ込めたので、杯が下に落ち、軽い音を立てた。
中に注いだお酒が零れ、縁側から庭に流れて……
その一瞬の出来事に、私は思わず目を丸くして光秀さんを見た。
「光秀さん……?」
「すまない、零してしまったな」
「それは、大丈夫ですけど……」
(あれ?なんか光秀さん……)
なんだろう、少し目が赤い気がする。
それに、ちょっと潤んでいるような……?
そんな気がして、おもむろに手を伸ばし、光秀さんの目元に指で触れる。
すると、光秀さんはまたビクッと肌を震わせ。
なんだか、熱く艶めかしい吐息を吐いた。
「……はぁっ……」
「光秀、さん……?」
「……今夜の酒は、やたらと回るな」
「え……?」
「酒には酔わない方なんだか…今日はお前と美味い酒を飲んだせいか、随分身体が熱い」
そう、ふわりと微笑む光秀さん。
心なしか、熱に浮かされているような…そんな雰囲気。
まさか、媚薬が効いてきた……?
そう思って、光秀さんの顔をよく見ようと、頬に手を伸ばして触れた。
(……っっ、肌熱い……!)
触れた光秀さんの肌は、燃えるように熱かった。
ピリピリと痺れが伝わり、触れ合ってる部分が痛いくらいだ。
すると、光秀さんはふうっと息を吐いて、頬に触れている手に自分の手を重ねてきて……
なんだか熱っぽい視線を私に向けてきた。